第27講 比較(1)|比較対象を復元する|英文の原理
― 比較対象を復元する
比較は「何と何を比べているか」を復元できれば読めます。than・as の後ろは、省略されているのが標準です。
比較が難しく感じるのは、than や as の後ろで大幅な省略が起きるからです。第26講の省略の技術が、ここで最も体系的に効きます。この講で押さえるのは一点――比較の2つの対象は、同じ資格・同じ形(第25講の並列と同じ原則)。だから後半は前半のくり返しになり、省略される。復元すれば、比較は必ず読めます。
1. 原理 ― 比較対象は同じ資格
比較では、2つの対象が同じ資格・同じ形で並ぶ。than / as の後ろは、前半とくり返しになる部分が省略される。何と何を比べているかを復元すれば、意味が確定する。
比較の骨組みは、比べる2つを対等に置くことです。だから、比べる対象は文法的に同じ形でなければなりません。
He runs faster than I (run / do).
than の後ろは、前半とくり返しになる部分(is long/run)が省略されます。何が比べられているか――この橋の長さ と あの橋の長さ、彼の走る速さ と 私の走る速さ――を復元すれば、比較は読めます。
2. 対象の復元 ― than / as の後ろを補う
- 比較級(-er / more)や as を見つけ、何を比べているか(形容詞・副詞・名詞)を確認する。
- than / as の後ろを見て、省略された部分を前半から補う。
- 比べている2つが「同じ資格」で並ぶように復元する。主語と主語、目的語と目的語。
- 復元した2つを比べて、意味を確定する。
3. 例文の解析
The second experiment produced clearer results than the first did.
- 比べるもの
- 2つ目の実験の結果の明確さ と 1つ目の実験の結果の明確さ
- did
- =produced(代動詞)
2つ目の実験は、1つ目よりも明確な結果を出した。
The population of this region is larger than that of the entire neighboring country.
- that
- =the population(第12講の代用)。「この地域の人口」と「隣国の人口」を同じ資格で比較
この地域の人口は、隣国全体の人口よりも多い。
that of / those of は、比較対象を同じ資格にそろえるための代用。これが無いと「人口 と 国」を比べる非文になります。
The new model is not as expensive as the previous one was.
- as … as
- 間は原級 expensive。後ろの expensive は省略
新しいモデルは、以前のモデルほど高価ではない。
not as … as「〜ほど…でない」。間に入るのは原級(比較級ではない・第19講)。
The more data we collect, the harder it becomes to draw a simple conclusion.
- the +比較級, the +比較級
- 「〜すればするほど、ますます…」
データを集めれば集めるほど、単純な結論を出すのは難しくなる。
The 比較級 …, the 比較級 … は比例の構文。前半が条件、後半が帰結。頻出で、和訳でも狙われます。
Her responsibilities are now greater than those of her supervisor.
- those
- =the responsibilities(複数なので those)。「彼女の職責」と「上司の職責」を比較
彼女の職責は、いまや上司の職責より大きい。
than her supervisor(上司その人)ではなく than those of her supervisor(上司の職責)。複数名詞の代用は those。
People tend to remember information that confirms their beliefs far more readily than they do information that challenges them.
- 比べるもの
- 信念を裏づける情報を覚える「たやすさ」 と 信念に反する情報を覚える「たやすさ」
- they do
- =they remember(代動詞)。後ろに information that challenges them が続く
人は、自分の信念を裏づける情報を、それに反する情報よりもはるかにたやすく覚える傾向がある。
more readily than they do … の do は remember の代用。比べているのは「覚えるたやすさ」で、対象は2種類の情報。復元すれば、対比が明確になります。
4. つまずきやすい形
(1) than / as の後ろは省略が標準
than I do / than she did / as it was のように、動詞が代動詞(do/does/did)や be で受けられ、その後ろは省略。比べている中身を前半から補って読みます。
(2) 比較対象は同じ資格にそろえる(that / those of)
名詞の比較では、that of / those of で対象をそろえます。The winters here are colder than those in the north.(those = the winters)。これが抜けると非文・誤読の原因になります。
(3) as … as の間は原級
as tall as(○)/as taller as(×)。as … as の間は必ず原級。not so … as も同じ(第19講)。
(4) 比較級を強める語
much / far / even / still / a lot + 比較級(much larger)。very は比較級を強められません(very larger は誤り)。原級を強めるのが very、比較級を強めるのが much / far。
5. 入試ではこう出る
和訳問題では、than / as の後ろの省略を復元し、何と何を比べているかを明確に訳すことが問われます。The 比較級, the 比較級(EX 4)や、代動詞 do を含む比較(EX 6)は頻出です。
文法問題では、比較対象をそろえる that of / those of、as … as の間の原級、比較級を強める much/far(very は不可)が定番。比較は「同じ資格を並べ、くり返しを省く」という原理で、多くの出題が一貫して説明できます。次の第28講では、than 節の中でさらに複雑な省略・倒置が起きる形を扱います。
6. 確認問題
各文で①何と何を比べているか ②than/as の後ろの省略を補った形を言えるようにしてから開いてください。
(1) The results were more promising than we had expected.
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比べるもの:実際の結果の有望さ と 予想していた有望さ。=than we had expected (the results to be)。「予想していたより有望だった」。
結果は、私たちが予想していたよりも有望だった。
(2) The economy of the island depends on tourism more than that of the mainland.
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that = the economy。「島の経済」と「本土の経済」の、観光への依存度を比較。that of the mainland で対象を同じ資格にそろえている。
その島の経済は、本土の経済よりも観光に依存している。
(3) The task was not nearly as difficult as it had seemed at first.
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as … as(原級)。=as it had seemed (difficult) at first。not nearly as … as「〜には全く及ばない」。「最初に見えたほど難しくはなかった」。
その作業は、最初に見えたほど難しくは全くなかった。
(4) The longer the meeting went on, the less anyone seemed to remember its purpose.
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The 比較級, the 比較級(比例)。「会議が長引けば長引くほど、その目的を覚えている人は少なくなるようだった」。前半が条件、後半が帰結。
会議が長引けば長引くほど、その目的を覚えている人は少なくなるようだった。
(5) She enjoys teaching far more than (she enjoys) doing research.
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比べるもの:教えることを楽しむ度合い と 研究することを楽しむ度合い。than の後ろで she enjoys が省略。動名詞 teaching と doing research を同じ形で比較。far は比較級の強調。
彼女は、研究することよりも、教えることをはるかに楽しんでいる。
7. この講のまとめ
| 原理7 | 比較の2対象は同じ資格・同じ形。than/asの後ろは省略が標準 |
|---|---|
| 復元手順 | 何を比べているか確認 → than/asの後ろを前半から補う → 同じ資格にそろえる |
| that of / those of | 比較対象を同じ資格にそろえる代用 |
| as … as | 間は原級。not as … as「〜ほど…でない」 |
| 比較級の強調 | much / far / even / still(very は不可) |
次の第28講では、比較のさらに難しい形――than 節の中の欠所や倒置、than が関係代名詞的に働く形――を扱い、難関大の比較を読み切ります。
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比較対象を復元して、正確に読む
比較は「何と何を比べているか」を復元できれば、必ず読めます。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、than/as の省略や that of の代用まで、構造から正確に読み解く力をつけます。
