第3講 動詞の数と接続語の数|構造の検算式|英文の原理

英文の原理|第I部 文の骨格をつかむ|第3講
動詞の数と接続語の数
― 構造の検算式

述語動詞が2つあるのに、つなぐ語が見当たらない。この食い違いは、読み間違いではなく「何かが省略されている」という合図です。

第1講で述語動詞を、第2講で準動詞の働きを決めました。この講では、その二つを合わせて自分の読みが破綻していないかを確かめる方法を扱います。数学の計算に検算があるように、英文の構造把握にも検算があります。しかもかなり単純な引き算です。

1. この講で解決する読み間違い

The professor said the results were inconclusive.

述語動詞は saidwere の2つ。ところが、この二つをつなぐ語がどこにもありません。andthatwhich も見当たらない。

ここで多くの人は、気にせず「教授は言った、結果は決定的でなかった」と流します。この文なら通じます。しかし同じ読み方を次の文でやると、途中で行き詰まります。

The data the team collected came from a single region.

「データ / チーム / 集めた / 来た / 一つの地域から」。collectedcame という二つの過去形が続いていて、どちらが主節の動詞なのかが決まりません。つなぐ語が足りないという事実に気づけると、この文は一気にほどけます。

つなぐ語が足りないときの答えは、たいてい一つです。省略されている。英語には「省略してよい」と決まっている語がいくつかあり、その筆頭が目的格の関係代名詞と、名詞節を作る that です。数の食い違いが、省略に気づくきっかけになります。

2. 原理 ― 節の数とつなぐ語の数

原理 2

述語動詞の数だけ節がある。節が n 個あるなら、それらをつなぐ語は n − 1 個必要になる。

とは、述語動詞を一つ含むまとまりのことです。文が一つの節でできているなら、つなぐ語は要りません。節が2つなら1つ、3つなら2つ。理由は単純で、独立した文をただ並べただけでは一つの文にならないからです。日本語で「雨が降った。試合は中止になった。」を一文にするには「ので」が要るのと同じことです。

つなぐ語になれるのは4種類

種類 作るもの
等位接続詞 and / but / or / so / yet 対等な関係で結ぶ
従属接続詞 when / if / because / although / that / while 副詞節または名詞節
関係詞 who / which / that / whose / where / when 形容詞節(名詞を説明)
疑問詞・whether what / how / why / whether 名詞節

逆に言うと、この4種類のどれでもない語は、いくら文中にあっても節を増やしません。前置詞(indespite)や副詞(howevertherefore)は、後ろに節を従えることができないからです。HoweverAlthough を混同すると、この数が合わなくなります。

この式は、答えを自動的に出す装置ではありません。数が合っていても、どの節がどこにかかっているかはまだ決まっていません。合っているのは「大枠で取り違えてはいない」ということだけです。それでも、数が合わないと分かった瞬間に「省略か、数え違いか」の二択まで絞れるので、そこから先に頭を使えます。何も確かめずに読み進めると、間違いに気づく手がかりが最後まで現れません。

3. 判別の手順

  1. 述語動詞を数える。準動詞は数えない。助動詞・完了形・進行形・受動態は全体で一つ(第1講)。
  2. つなぐ語を数える。上の4種類だけを拾います。and は「何と何を結んでいるか」を必ず確かめる。名詞と名詞を結んでいるなら、節は増えません。
  3. 引き算する。(述語動詞の数)−(つなぐ語の数)が 1 になるかを見ます。
  4. 1 より大きければ、つなぐ語が省略されている。省略されうるのは決まった形だけなので、そこを探します。
  5. 1 より小さければ、数え違いを疑う。準動詞を数えていないか、and が語と語を結んでいないか、を見直します。

省略されるのは、この3つがほとんど

目的格の関係代名詞 the book (which) I read 名詞の直後に〈名詞+動詞〉が続く
名詞節の that I think (that) he is right think / say / know などの直後
関係副詞 the day (when) we met 時・場所・方法を表す名詞の直後

4. 例文の解析

EX 1|数が合う基本形

When the alarm sounded, everyone left the building.

When the alarm sounded〕, everyone left the building.
述語動詞
sounded / left(2)
つなぐ語
When(1)
検算
2 − 1 = 1 ✓

警報が鳴ったとき、全員が建物から出た。

EX 2|that の省略

The professor said the results were inconclusive.

The professor said 〔(that) the results were inconclusive〕.
述語動詞
said / were(2)
つなぐ語
見当たらない(0)
検算
2 − 0 = 2 → 1つ足りない
結論
said の直後なので、名詞節の that が省略されている

その教授は、結果は決定的なものではないと述べた。

EX 3|関係代名詞の省略

The data the team collected came from a single region.

The data 〔(which) the team collected〕 came from a single region.
述語動詞
collected / came(2)
つなぐ語
0 → 1つ足りない
手がかり
名詞 The data の直後に〈名詞+動詞〉the team collected が続いている

そのチームが集めたデータは、一つの地域から得られたものだった。

〈名詞+名詞+動詞〉という並びを見たら、あいだに関係代名詞が省略されていないかをまず疑う。この当たりのつけ方は、長文でそのまま使えます。

EX 4|and が節を結んでいない場合

The report and the accompanying data were released yesterday.

The report and the accompanying data were released yesterday.
述語動詞
were released(1)
and が結ぶもの
名詞 The report と名詞 the accompanying data
検算
節は1つなので、つなぐ語は 0 でよい ✓

その報告書と付属データは昨日公開された。

and があるから節が2つある、とはかぎりません。and は語と語、句と句も結ぶので、何を結んでいるかを決めてからでないと検算に使えません。この判断は第25講で正面から扱います。

EX 5|節が3つ

He opened the door and saw that the room had been emptied.

He opened the door and saw 〔that the room had been emptied〕.
述語動詞
opened / saw / had been emptied(3)
つなぐ語
and(述語同士を結ぶ)/that(2)
検算
3 − 2 = 1 ✓

彼はドアを開け、部屋がすっかり空になっているのを目にした。

ここでの andopenedsaw という二つの述語を結んでいるので、検算では1つと数えます。EX 4 との違いは、結ばれている相手に述語動詞が含まれているかどうかだけです。

EX 6|名詞の後ろの that

The idea that machines could think seemed absurd to most scientists at the time.

The idea 〔that machines could think〕 seemed absurd to most scientists at the time.
述語動詞
could think / seemed(2)
つなぐ語
that(1) 検算 2 − 1 = 1 ✓
主節の動詞
seemedcould thinkthat 節の中

機械が思考できるという考えは、当時のたいていの科学者には馬鹿げたものに思えた。

主語が The idea だけで終わらず、that 節を抱えて長くなっています。主語がどこで終わるかは第5講、この that(同格)の識別は第12講で扱います。

EX 7|入試レベル・省略が2か所

Because the data the team collected came from a single region, the conclusions they drew could not be applied to the country as a whole.

Because the data 〔(which) the team collected〕 came from a single region〕, the conclusions 〔(which) they drew〕 could not be applied to the country as a whole.
述語動詞
collected / came / drew / could be applied(4)
見えるつなぐ語
Because(1)→ 4 − 1 = 3 で 2つ足りない
探す場所
the data の直後と the conclusions の直後。どちらも〈名詞+名詞+動詞〉の並び
検算
つなぐ語3(Because+省略2) 4 − 3 = 1 ✓

そのチームが集めたデータは一つの地域から得られたものだったので、彼らが導いた結論を国全体に当てはめることはできなかった。

数が2つ足りないと分かった時点で、「省略が2か所ある」という前提で探しにいけます。闇雲に読み返すのではなく、〈名詞+名詞+動詞〉の並びだけを探すという具体的な作業に落ちるのが、この検算の効きどころです。

5. つまずきやすい形

(1) セミコロン・コロン・ダッシュは接続詞の代わりになる

The experiment failed; the funding was withdrawn. のセミコロンは、等位接続詞1つ分として数えます。コロンやダッシュも同様です。句読点も「つなぐ語」に含めて数えると、式が合います。

(2) 関係代名詞は二役をしている

the woman who lives next doorwho は、節をつなぐと同時に lives の主語も務めています。だから who の後ろには主語がありません。関係詞節の中は、どこかが欠けている――これが第9講の「完全・不完全」の話につながり、第11講の that の識別の決め手になります。

(3) 分詞構文と不定詞は節を作らない

Arriving early, she found the hall empty. の述語動詞は found だけ。Arriving は準動詞なので節を作らず、つなぐ語も要りません。接続詞+主語+動詞を、準動詞に置き換えて短くしたものが分詞構文だと考えると、なぜつなぐ語が消えるのかが分かります(第24講)。

(4) however は接続詞ではない

The plan was sound; however, the timing was wrong.however は副詞なので、節をつなぐ働きはありません。ここでつないでいるのはセミコロンです。thereforeneverthelessmoreover も同じ仲間で、これらだけでは二つの節を一文にできません。

6. 入試ではこう出る

長い一文をそのまま和訳させる出題では、どこが主節でどこが従属節かを決められるかが、答案の骨格を決めます。京都大学や大阪大学のように50語を超える一文が出るとき、述語動詞を数える作業だけは、意味が取れていなくても先にできます。数えてから読むのと、読みながら数えるのとでは、途中で迷子になる確率がかなり違います。

整序英作文でも同じ式が使えます。与えられた語群に述語動詞が2つ含まれているのに接続詞が1つも無ければ、関係代名詞の省略か that の省略を含む形が答えになると分かります。選択肢を作る側は、この省略を見落とすことを織り込んで問題を作っていることが多いのです。

7. 確認問題

①述語動詞の数 ②つなぐ語の数 ③引き算が 1 になるかを確かめてから開いてください。

(1) The theory he proposed in 1998 still influences research today.

解答・解説を見る

述語動詞は proposedinfluences の2つ、見えるつなぐ語は0。1つ足りないので省略を疑います。The theory(名詞)の直後が he(名詞)+proposed(動詞)なので、目的格の関係代名詞の省略です。

彼が1998年に提唱した理論は、今日でも研究に影響を与えている。

(2) Although she had studied the subject for years, she found the lecture difficult to follow.

解答・解説を見る

述語動詞は had studiedfound の2つ、つなぐ語は Although の1つ。2 − 1 = 1 で合います。to follow は準動詞なので数えません。

彼女は何年もその分野を学んでいたのに、その講義は理解しづらいと感じた。

(3) The village where my grandfather was born no longer exists.

解答・解説を見る

述語動詞は was bornexists の2つ、つなぐ語は関係副詞 where の1つ。2 − 1 = 1。主節の動詞は exists です。no longer は副詞なので骨格には入りません。

祖父が生まれた村は、もう存在しない。

(4) Scientists know that the ice is melting faster than earlier models predicted.

解答・解説を見る

述語動詞は knowis meltingpredicted の3つ、つなぐ語は thatthan の2つ。3 − 2 = 1 で合います。than も節を導くことがある、という点が見落とされがちです(第27講)。

科学者たちは、氷が以前のモデルの予測より速く融けていることを知っている。

(5) The committee approved the proposal and asked the researchers to submit a revised budget.

解答・解説を見る

述語動詞は approvedasked の2つ、and がその二つを結んでいるので1つと数えます。2 − 1 = 1。to submit は準動詞なので数えません。
もし andthe proposal と別の名詞を結んでいたなら、数え方が変わります。and は必ず「何と何か」を決めてから数えるという手順が、ここで効いてきます。

委員会はその提案を承認し、研究者たちに修正予算の提出を求めた。

8. この講のまとめ

原理2 節が n 個なら、つなぐ語は n − 1 個
つなぐ語 等位接続詞/従属接続詞/関係詞/疑問詞・whether(+セミコロン等)
足りないとき 省略。目的格の関係代名詞/名詞節の that/関係副詞のどれか
多いとき 数え違い。準動詞を数えた/and が語と語を結んでいる
使いどころ 答えを出すためではなく、大枠で取り違えていないかを確かめるため

ここまでの3講で、一文の骨組みを自分で確かめられるようになりました。第4講からは、その骨組みの中身――述語動詞の後ろに何が必要になるか(文型)――に入っていきます。

次の講へ

長い一文で迷子にならないために

この検算は、一人で長文を読んでいるときに最も効きます。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試問題で、どこまで数えられてどこで判断を誤ったかを毎回可視化し、和訳・要約の答案に結びつけるところまで担当講師が見ます。

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