第2講 準動詞は述語動詞ではない|to V・Ving・Vpp の身分|英文の原理
― to V・Ving・Vpp の身分
第1講で候補から外した語たちの話です。外したまま放っておくと、文の意味の半分が抜け落ちます。準動詞は文の中心ではありませんが、内容の多くを運んでいるのはむしろこちらです。
第1講では、動詞らしい語のうち時制を持たないもの――to do・doing・done――を述語動詞の候補から外しました。この三つをまとめて準動詞と呼びます。この講で決めるのは、外した準動詞が文の中で何をしているのかです。ここまで決まると、一文の構造はほぼ確定します。
1. この講で解決する読み間違い
この文には動詞らしい語が3つあります。refused、consider、proposed。第1講の手順で外していくと、to consider は不定詞なので外れ、proposed は直前に be も have もない裸の過去分詞なので外れます。残る述語動詞は refused 一つだけ。
ここまでは第1講でできます。しかし、外した二つを「関係ない語」として捨ててしまうと、この文の内容は取れません。to consider the plan は 何を拒んだのかを、proposed by the students は どの計画なのかを担っているからです。
委員会は、学生たちが提出した計画を検討することを拒んだ。
2. 原理 ― 準動詞は名詞・形容詞・副詞のどれかになる
文の中のかたまりは、名詞・形容詞・副詞のいずれかの働きをする。準動詞のかたまりも例外ではない。
「不定詞には3用法ある」「-ing には動名詞と現在分詞がある」と別々に覚えると、覚える項目が増えていきます。しかし三つの形を並べると、実は同じ枠に収まっていることが見えます。
| 形 | 名詞として | 形容詞として | 副詞として |
|---|---|---|---|
| to do | 名詞用法 to read books |
形容詞用法 a book to read |
副詞用法 stopped to read |
| doing | 動名詞 reading books |
現在分詞 the man reading |
分詞構文 Reading it, he … |
| done | なし | 過去分詞 the book written |
分詞構文 Written in 1920, it … |
覚える項目は「3形 × 3用法」ではなく、この表のマス目がどこで埋まっていないかです。埋まっていないのは一か所、done の名詞欄だけ。裸の過去分詞が主語や目的語になることはありません。だから Written in 1920 が文頭にあれば、それは主語ではなく副詞のかたまりだと、その時点で決まります。
準動詞が持つもの・持たないもの
| 持たない | 時制/主語との一致(-s がつかない) |
|---|---|
| 持つ | 目的語・補語・修飾語を従える力/意味上の主語/態(to be done・being done)/主節との時間差(to have done・having done) |
準動詞は「動詞であることをやめた語」ではありません。目的語も取るし、受け身にもなるし、主節より前の話であることも示せます。できないのは、いつの話かを自分で決めることと、主語と結びついて文を成立させることの二つだけです。この二つができないから、文の中心にはなれない。それが「準」動詞という呼び名の中身です。
3. 判別の手順
- 準動詞のかたまりが、どこまで続くかを決める。準動詞は目的語や修飾語を従えるので、後ろに続く部分もかたまりに含まれます。かたまりの終わりは、次の述語動詞・接続詞・コンマが目印になります。
- そのかたまりが置かれている位置を見る。主語の位置・目的語の位置・前置詞の後ろなら名詞、名詞の直後なら形容詞、それ以外なら副詞。位置が働きを決めます。
- 意味上の主語を確認する。そのかたまりの動作を誰がしているのか。ふつうは主節の主語か、直前の名詞です。for A to do/A's doing のように明示されることもあります。
- 時間差と態を確認する。having done・to have done なら主節より前の話。being done・to be done なら受け身です。
この4段階も、答えが自動的に出てくる装置ではありません。ステップ2で候補が二つ残ることは普通にあります。ただ、位置を見た時点で三つのうち一つか二つには絞れているので、そこから先の「どちらが自然か」に頭を使えます。何も絞らずに全体をにらんでいるあいだは、単語の意味しか手がかりがありません。
4. 例文の解析
The company decided to expand its operations overseas.
- 準動詞
- to expand(かたまりは overseas まで)
- 位置
- decided の目的語の位置
- 働き
- 名詞(名詞用法)
- 意味上の主語
- The company
その会社は海外へ事業を拡大することを決めた。
We need someone to manage the new project.
- 位置
- 名詞 someone の直後
- 働き
- 形容詞(someone を説明)
- 意味上の主語
- someone(管理するのはこの人)
新しいプロジェクトを管理してくれる人が必要だ。
EX 1 と形は似ていますが、need の目的語はすでに someone で埋まっています。目的語の位置が空いていないので、to manage は名詞にはなれません。空いている位置がどこかを見ると、候補が一つに絞れます。
She left the office early to catch the last train.
- 位置
- SVO が完成した後ろ
- 働き
- 副詞(目的「〜するために」)
彼女は終電に間に合うように早めに退社した。
主語・動詞・目的語がすでに揃っているので、名詞の入る場所がありません。直前の early は名詞ではないので形容詞にもなれない。消去法で副詞に決まります。
Collecting old maps has been his passion since childhood.
- 述語動詞
- has been(全体で一つ)
- 働き
- Collecting old maps が名詞のかたまりで主語
古地図を集めることが、子どもの頃から彼の情熱だった。
Collecting の直前に be がないので進行形ではありません。文頭で、直後に述語動詞 has been が控えている以上、このかたまりは主語です。
The man standing by the entrance is our new supervisor.
- 位置
- 名詞 The man の直後
- 働き
- 形容詞(後置修飾)
- 注意
- is の直前にあるが is standing ではない。間に by the entrance が挟まっている
入口のところに立っている男性が、私たちの新しい上司です。
「主語が長い」と感じたら、その主語のどこかに準動詞のかたまりが入っていることが多い、と当たりをつけられます(第5講)。
Encouraged by the response, the author began work on a sequel.
- 形
- 裸の過去分詞が文頭
- 働き
- 副詞(分詞構文)。過去分詞は名詞になれないので、主語ではありえない
- 意味上の主語
- the author(励まされたのは著者)
反響に励まされて、その著者は続編の執筆に取りかかった。
表の「埋まっていないマス目」が効く場面です。文頭の Encouraged を見た瞬間に、これは主語ではないと決められます。主語は後ろに別にある、と分かった状態で読み進められます。
Having spent years studying languages that few people still speak, the linguist knew how difficult it would be to persuade the committee to fund another expedition.
- 述語動詞
- speak / knew / would be の3つ
- つなぐ語
- that / how の2つ(3 − 1 = 2 ✓)
- 準動詞
- Having spent(副詞・主節より前の話)/studying(spend O doing の形)/to persuade(it が指す中身)/to fund(persuade O to do の形)
- 意味上の主語
- Having spent=the linguist/to fund=the committee
いまも話す人がほとんどいない言語の研究に何年も費やしてきたその言語学者は、もう一度調査に資金を出すよう委員会を説得することがどれほど難しいかを分かっていた。
準動詞が4つ入っていますが、述語動詞は3つで、つなぐ語も2つ。数が合っているので、構造の大枠は決まりました。あとは to fund の意味上の主語が the committee であることを押さえれば、「委員会が資金を出す」という関係が正しく訳出できます。ここを主節の主語(言語学者)だと思い込むと、訳が反転します。
5. つまずきやすい形
(1) be + Ving は述語動詞、それ以外の Ving は準動詞
He is considering moving to a smaller city. では、is considering が述語動詞(進行形)、moving が動名詞でその目的語です。-ing が2つ並んでいても、直前に be があるほうだけが述語動詞の一部になります。
(2) -ed の三択
| be + Vpp | was written | 述語動詞(受動態) |
|---|---|---|
| have + Vpp | has written | 述語動詞(完了) |
| 裸の Vpp | the letter written … | 準動詞(形容詞か副詞) |
迷ったときに見るのは意味ではなく直前の語です。ここを機械的に確認するだけで、第1講の EX 4 のような文で止まらなくなります。
(3) 意味上の主語が主節とずれる形
The professor insisted on the students submitting their essays by Friday. の submitting の主語は the students であって教授ではありません。動名詞の直前に名詞が置かれていたら、それが意味上の主語ではないかを疑う。不定詞では for A to do の形で示されます(It is difficult for beginners to distinguish these sounds.)。
(4) to が不定詞とはかぎらない
She objected to changing the schedule. の to は前置詞で、後ろは動名詞です。look forward to/be used to/object to などがこの形になります。to の直後が原形なら不定詞、-ing なら前置詞と、形で切り分けられます。
6. 入試ではこう出る
和訳問題で差がつくのは、準動詞の意味上の主語と時間差です。having done を単に「〜して」と流すと、主節より前の出来事だという情報が答案から落ちます。to have done も同じで、「〜したようだ」と「〜するようだ」では内容が変わります。
文法・語法の設問では、stop to do と stop doing、remember to do と remember doing のような対比が問われます。これも暗記事項として並べるより、不定詞はこれからのこと、動名詞はすでにあることという傾向から考えたほうが、初見の動詞にも当たりをつけられます。ただし例外もあるので、傾向で候補を絞ったうえで、実際の用例で確かめるという順番になります。
7. 確認問題
各文の①述語動詞 ②準動詞とそのかたまりの範囲 ③各準動詞の働き(名詞・形容詞・副詞)を決めてから開いてください。
(1) The documents left on the desk belong to the auditor.
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述語動詞は belong の1つ。left on the desk は裸の過去分詞のかたまりで、The documents を説明する形容詞の働きです。left を述語だと読むと belong が浮きます。
机の上に置かれていた書類は、監査人のものです。
(2) He is considering moving to a smaller city after his retirement.
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述語動詞は is considering(全体で一つ)。moving to a smaller city は動名詞のかたまりで、その目的語=名詞の働きです。-ing が2つあっても、be の直後のものだけが述語動詞の一部になります。
彼は退職後に、もっと小さな街へ引っ越すことを考えている。
(3) There seems to be no simple way to solve this problem.
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述語動詞は seems の1つ。to be は seems に続く準動詞、to solve this problem は way を説明する形容詞の働きです。to が2つありますが、働きは別です。
この問題を解決する簡単な方法は、どうやらなさそうだ。
(4) Having been warned about the storm, the crew decided not to sail that night.
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述語動詞は decided の1つ。Having been warned about the storm は副詞の働き(分詞構文)で、受け身かつ主節より前の話であることまで形が示しています。意味上の主語は the crew。not to sail は decided の目的語で名詞の働きです。
嵐について警告を受けていたので、乗組員はその夜は出航しないことに決めた。
(5) The professor insisted on the students submitting their essays by Friday.
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述語動詞は insisted の1つ。submitting は前置詞 on の目的語となる動名詞で、名詞の働きです。その直前の the students は意味上の主語で、提出するのは学生のほうです。ここを教授だと読むと、内容が入れ替わります。
その教授は、学生たちが金曜日までにレポートを提出することを強く求めた。
8. この講のまとめ
| 準動詞 | to do/doing/done。時制と主語との一致を持たないので、文の中心になれない |
|---|---|
| 働き | 名詞・形容詞・副詞のどれか。ただし done だけは名詞にならない |
| 決め方 | かたまりの範囲を決める → 置かれた位置で働きを決める → 意味上の主語と時間差を確認する |
| 合図 | 裸の -ed が文頭 → 副詞。名詞の直後 → 形容詞。be/have の直後 → 述語動詞の一部 |
第1講で述語動詞を決め、第2講で準動詞の働きを決めました。次の第3講では、この二つを合わせて文全体が破綻していないかを確かめる方法――節の数とつなぐ語の数の関係――を扱います。ここまでで、一文の構造を自分で検算できるようになります。
次の講へ
「なんとなく訳せる」を「根拠を言える」に変える
準動詞の意味上の主語を取り違えたまま和訳を書くと、内容が反転していても自分では気づけません。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。答案を出して、どこで判断を誤ったかを毎回特定するところまでを、担当講師が一貫して見ます。
