第4講 文型は「動詞の後ろに何が要るか」の分類|英文の原理
5文型を暗記しても英文は読めるようになりません。文型は覚える表ではなく、述語動詞を見たときに「この後ろに何が来るはずか」を予測するための道具です。
「第◯文型」という番号を暗記した経験は誰にでもあります。ですが、番号を言えることと英文が読めることは別です。この講では、文型を述語動詞ごとに決まる「後ろの要求」として捉え直します。第1講で述語動詞を見つけたら、次にすることはその動詞が後ろに何を要求するかを予測することです。
1. この講で解決する読み間違い
この文で made を「作った」と訳すと、「長い旅が年老いた旅人たちを作った」となって意味が通りません。ここで多くの人は、なんとか意味が通るように単語を並べ替えようとします。しかし本当の問題は訳語ではなく、made の後ろに何が来ているかを見ていないことです。
made の後ろは the old travelers(旅人たち)と cheerful(陽気な)。この二つのあいだには「旅人たち=陽気」という関係があります。つまりこの made は「作る」ではなく「(O を C の状態に)する」という第5文型の使い方です。
長い旅は、年老いた旅人たちを驚くほど陽気にした。
2. 原理 ― 動詞が後ろの形を決める
述語動詞は、後ろにどんな要素を必要とするかがあらかじめ決まっている。文型とは、その「必要とする要素」の型のこと。
英語は語順の言語です。日本語なら「を」「に」で役割を示せますが、英語は置かれた場所で役割が決まります。だから、動詞の後ろに何がいくつ来るかは、その動詞の性質で決まっています。5つの型は、暗記すべき5つの箱ではなく、動詞が要求しうる後ろの形が5通りしかないということの整理です。
| 型 | 後ろに要るもの | 動詞の代表 | 目印 |
|---|---|---|---|
| 第1(SV) | 何も要らない | go, arrive, happen | 後ろは修飾語だけ |
| 第2(SVC) | C(S=C) | be, become, seem, look | S と C がイコール |
| 第3(SVO) | O(S≠O) | have, make, read | S と O は別物 |
| 第4(SVOO) | O+O(人+物) | give, tell, show | 「人に物を」 |
| 第5(SVOC) | O+C(O=C) | make, call, keep, find | O と C がイコール |
読むときに効くのは、「イコールがあるか」という一点です。動詞の後ろに名詞が2つ並んでいるとき、その2つがイコールなら第5文型(O=C)、イコールでないなら第4文型(人≠物)。この判断は第6講で詳しく扱いますが、ここで芽を入れておきます。
3. 判別の手順
- 述語動詞を決める(第1講)。
- 後ろの名詞・形容詞を数える。前置詞から始まるかたまりは、いったん外して考えます(それは修飾語で、骨格には入りません=第7講)。
- 後ろが0個なら第1文型。あとは全部修飾語です。
- 後ろが1個なら、S とイコールか確かめる。イコールなら第2文型(C)、別物なら第3文型(O)。
- 後ろが2個なら、その2つがイコールか確かめる。イコールなら第5文型(OC)、別物なら第4文型(OO)。
この手順も、当てはめれば答えが出る装置ではありません。ステップ4・5の「イコールか」は、実際に頭を使って確かめる部分です。ただ、「この動詞をどう訳そう」ではなく「後ろがいくつで、イコールがあるか」を先に見ると、確かめるべきものがはっきりします。訳語から入ると、知っている意味に引きずられて止まります。
4. 例文の解析
The old bridge collapsed during the storm.
- 後ろの要素
- 0個(during the storm は前置詞句=修飾語)
- 文型
- 第1(SV)
その古い橋は嵐のあいだに崩落した。
The evidence against him gradually became overwhelming.
- 後ろの要素
- 1個(overwhelming)
- イコール
- evidence = overwhelming(証拠が圧倒的だ)
- 文型
- 第2(SVC)
彼に不利な証拠は、しだいに圧倒的なものになった。
against him を外すと、主語は The evidence だと見えます。become は「〜になる」で、後ろは S と同じものを指す C です。
The new manager introduced several changes last month.
- 後ろの要素
- 1個(several changes)
- イコール
- manager ≠ changes(別物)
- 文型
- 第3(SVO)
新しい部長は先月、いくつかの変更を導入した。
Her mentor offered her a rare opportunity.
- 後ろの要素
- 2個(her と a rare opportunity)
- イコール
- her ≠ opportunity(人≠物)
- 文型
- 第4(SVOO)
彼女の指導者は、彼女にまたとない機会を与えた。
The long journey made the old travelers surprisingly cheerful.
- 後ろの要素
- 2個(the old travelers と cheerful)
- イコール
- travelers = cheerful(旅人たちが陽気だ)
- 文型
- 第5(SVOC)→ make は「O を C にする」
長い旅は、年老いた旅人たちを驚くほど陽気にした。
冒頭の文です。後ろの2つがイコールだと分かった時点で、made の訳が「作った」ではないと決まります。
They found the abandoned house / They found the house surprisingly comfortable.
They found the house surprisingly comfortable. … 第5(〜だと分かった)
- 左
- 後ろ1個 → 第3。「その家を見つけた」
- 右
- 後ろ2個・house=comfortable → 第5。「その家が快適だと分かった」
彼らはその廃屋を見つけた/彼らはその家が驚くほど快適だと分かった。
find という同じ語が、後ろの要素の数と関係で訳が変わります。辞書のどの語義を選ぶかは、文型が決めています。
What makes the theory so controversial is that it leaves unanswered the very question it was designed to settle.
- 主節
- S=名詞節 / is / C=that節 → 全体は第2文型
- What節の中
- makes the theory so controversial = 第5(theory=controversial)
- that節の中
- leaves unanswered the very question = 第5の倒置形(O と C が入れ替わり leaves the question unanswered が本来)
その理論をこれほど議論の的にしているのは、それが解決するために作られたまさにその問いを、答えのないまま残している点だ。
leaves unanswered the very question は、O が長いので C(unanswered)を先に出した形です。第5文型だと見抜けていれば、unanswered が C で、後ろの長い名詞が O だと分かります。文型の型が、語順の乱れを戻す手がかりになります(倒置は第30講)。
5. つまずきやすい形
(1) 自動詞と他動詞は同じ形のことがある
The window broke.(第1・割れた)と He broke the window.(第3・割った)。break は同じ形で両方に使えます。後ろに O があるかどうかで、どちらの使い方かが決まります。「自動詞・他動詞」を語ごとに丸暗記するより、その文で後ろに O があるかを見るほうが確実です。
(2) 第4文型は前置詞を使った形に書き換えられる
give him a chance(第4)=give a chance to him。後者では to him が前置詞句になり、文型としては第3です。同じ内容でも、語順が変われば文型も変わるのが英語です。
(3) C になれるのは名詞と形容詞
第2・第5文型の C には、名詞(become a doctor)も形容詞(become famous)も来ます。名詞が C のときは S(または O)とイコール、名詞が O のときは別物。ここが第4と第5を分ける境目です(第6講)。
(4) 前置詞句を C と間違えない
He is in the garden. の in the garden は場所を表す修飾語で、厳密には C ではありません。be の後ろが前置詞句のときは、文型の判定より「どこにいるか」の情報として読めば十分です。細かい分類より、骨格(SVOC)と修飾を切り分けることのほうが読解では効きます。
6. 入試ではこう出る
和訳問題で最も多い誤りの一つが、第5文型を第3や第4と読み違えることです。make / keep / leave / find / call / consider のような、第5文型で「O を C に(と)〜する」となる動詞は頻出で、ここを外すと文全体の意味が変わります。後ろの2つがイコールかを確かめるという一手が、そのまま得点に直結します。
文法・語法問題では、動詞が取る文型そのものが問われます。discuss(他動詞・前置詞不要)を discuss about としてしまう誤りは、その動詞が第3文型で直接 O を取ると知っていれば防げます。文型は、読解と語法の両方を貫く土台です。
7. 確認問題
各文の①述語動詞 ②後ろの要素の数 ③イコールの有無 ④文型を決めてから開いてください。
(1) The committee kept the negotiations strictly confidential.
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後ろは the negotiations と confidential の2つ。交渉=機密(イコール)なので第5文型。keep O C「O を C のままにする」。
委員会は交渉を厳重に秘密にしておいた。
(2) The lecture lasted nearly three hours.
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nearly three hours は時間の長さを表す修飾語で、O ではありません。後ろの要素は0個で第1文型。last は「続く」という自動詞です。
その講義は3時間近く続いた。
(3) The scholarship gave many students a chance they would never have had.
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後ろは many students と a chance の2つ。学生≠機会(別物)なので第4文型。a chance の後ろには目的格の関係代名詞が省略されています(a chance (that) they would never have had/第3講)。
その奨学金は、多くの学生に、決して得られなかったはずの機会を与えた。
(4) Most people consider honesty the foundation of trust.
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後ろは honesty と the foundation of trust の2つ。正直さ=信頼の土台(イコール)なので第5文型。consider O C「O を C とみなす」。両方とも名詞ですが、イコールなので第4ではなく第5です。
たいていの人は、正直さを信頼の土台だとみなしている。
(5) The scientist grew increasingly skeptical of the popular explanation.
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of the popular explanation は前置詞句なので外します。後ろに残るのは skeptical の1つで、scientist=skeptical(イコール)なので第2文型。ここでの grow は「育てる」ではなく「(しだいに)〜になる」で、become と同じ仲間です。
その科学者は、広く受け入れられた説明にしだいに懐疑的になっていった。
8. この講のまとめ
| 文型とは | 述語動詞が後ろに要求する要素の型。暗記表ではなく予測の道具 |
|---|---|
| 読む順 | 述語動詞を決める → 前置詞句を外す → 後ろの要素を数える → イコールを確かめる |
| 要素0 | 第1文型 |
| 要素1 | S とイコール→第2(C)/別物→第3(O) |
| 要素2 | 2つがイコール→第5(OC)/別物→第4(OO) |
| 効果 | 訳語を文型が決める。make/find/keep の意味は後ろの形で変わる |
次の第5講では、この判定の前提になる「主語はどこで終わるか」を扱います。主語が長いと、どこまでが S でどこからが V か分からなくなる。その切り出し方を決めておくと、文型の判定がさらに速くなります。
次の講へ
訳語ではなく、構造から決める
文型を「後ろの要求」として読めるようになると、辞書のどの語義を選ぶかで迷わなくなります。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、どの動詞をどう読んだかを毎回言語化し、和訳の答案に落とすところまで担当講師が伴走します。
