第5講 主語はどこで終わるか|長い主語の切り出し|英文の原理

英文の原理|第I部 文の骨格をつかむ|第5講
主語はどこで終わるか
― 長い主語の切り出し

英文が急に難しく感じる原因の多くは、単語ではなく「主語が長いこと」です。どこまでが主語かを決められれば、そのすぐ後ろに述語動詞が待っています。

短い文なら、主語はたいてい最初の一語か二語です。ところが入試の英文では、主語のうしろに関係詞節や前置詞句がいくつもぶら下がり、述語動詞にたどり着く前に迷子になります。この講で決めるのは、その長い主語が「どこで終わるか」という一点です。終わりが分かれば、次の語が述語動詞です。

1. この講で解決する読み間違い

The students in the class who had submitted their essays early received feedback first.

この文で had submitted を主節の動詞だと思うと、「クラスの学生たちがエッセイを早く提出した」で文が終わったように感じ、そのあとの received が宙に浮きます。

実際には、主語は The students in the class who had submitted their essays early という長い一かたまりで、主節の述語動詞は received です。in the class(前置詞句)と who had submitted their essays early(関係詞節)が、どちらも The students を後ろから説明しています。

クラスの中でエッセイを早く提出していた学生たちが、最初にフィードバックを受け取った。

主語の中に動詞(had submitted)が含まれていても、それは主語を説明する節の中の動詞であって、主節の述語動詞ではありません。「主語の終わり=主節の述語動詞の始まり」を探すことが、長い文をほどく鍵です。

2. 原理 ― 主語のうしろに付くもの

原理 3(展開)

主語の核は名詞ひとつ。そのうしろに付いて主語を長くするのは、名詞を説明する「形容詞のかたまり」だけである。

主語がどれだけ長くても、核になる名詞は一つです。その名詞のうしろに、次のような「形容詞の働きをするかたまり」が連なって、主語全体が伸びていきます。

付くもの 第◯講
前置詞句 the book on the shelf 第7講
関係詞節 the book that I read 第11・13講
現在分詞句 the man standing there 第22講
過去分詞句 the letter written in 1920 第23講
不定詞句 the way to solve it 第21講
同格 the idea that time is money 第12講

これらはすべて核の名詞を説明しているだけで、主語の役割そのものは核の名詞が担っています。だから、これらのかたまりが終わったところが主語の終わりで、その直後に主節の述語動詞が来ます。「述語動詞をまだ見ていない」あいだは、まだ主語が続いていると考えると、迷子になりません。

3. 判別の手順

  1. 文頭の名詞(核)を押さえる。これが主語の中心です。
  2. そのうしろのかたまりが「核を説明しているか」を確かめる。前置詞句・関係詞節・分詞句・不定詞句・同格なら、まだ主語の一部です。
  3. 説明のかたまりが終わったら、次の動詞を探す。そこに時制を持つ述語動詞(第1講)が現れたら、それが主節の V。手前までが主語です。
  4. 主語と述語動詞の一致を確かめる。核の名詞が単数なら動詞も単数形。これが合っていれば、切り出しは正しい可能性が高いという裏づけになります。

この手順も、当てはめれば答えが出る装置ではありません。ステップ2で「このかたまりは核を説明しているのか、それとも新しい節が始まったのか」を判断する場面が来ます。ただ、「述語動詞が出るまで主語は続く」と構えておくと、途中の動詞(説明節の中の動詞)に惑わされずに読み進められます。

4. 例文の解析

EX 1|前置詞句が2つ

The impact of social media on teenagers has become a major concern.

The impact of social media on teenagers has become a major concern.
The impact
主語の終わり
teenagers まで
主節の V
has become

ソーシャルメディアが10代に与える影響は、大きな懸念事項になっている。

核は The impact(単数)。has と単数で受けていることが、主語の切り出しが正しい裏づけになります。

EX 2|関係詞節を含む主語

The students in the class who had submitted their essays early received feedback first.

The students in the class 〔who had submitted their essays early〕 received feedback first.
The students
説明のかたまり
in the class(前置詞句)+who … early(関係詞節)
主節の V
received

クラスの中でエッセイを早く提出していた学生たちが、最初にフィードバックを受け取った。

冒頭の文です。had submitted は関係詞節の中の動詞。関係詞節が early で終わり、次の received が主節の述語動詞です。

EX 3|過去分詞句が主語を割る

The proposal submitted by the finance committee last week was rejected without discussion.

The proposal submitted by the finance committee last week was rejected without discussion.
The proposal
説明
submitted … last week(過去分詞句)
主節の V
was rejected

財務委員会が先週提出した提案は、議論もなく却下された。

submitted の直前に behave がないので、これは裸の過去分詞=説明のかたまりの先頭です(第1講の合図)。主節の動詞は was rejected

EX 4|同格が主語を伸ばす

The belief that hard work always leads to success has been questioned by researchers.

The belief 〔that hard work always leads to success〕 has been questioned by researchers.
The belief
説明
that … success(同格の that 節・後ろは完全)
主節の V
has been questioned

努力は必ず成功につながるという信念は、研究者たちによって疑問視されてきた。

同格の that 節の中にも動詞 leads がありますが、それは節の中の動詞。主語の切り出しには関係しません(同格の見分けは第12講)。

EX 5|等位接続詞でつながった主語

The rising cost of housing and the stagnation of wages have forced many young people to stay with their parents.

The rising cost of housing and the stagnation of wages have forced many young people to stay with their parents.
coststagnation の2つ(and が名詞を結ぶ)
主節の V
have forced(主語が2つ=複数なので have

住居費の高騰と賃金の停滞が、多くの若者を親と同居せざるを得なくさせている。

and が二つの名詞を結んで主語を作っています。だから動詞は複数の have動詞が単数か複数かは、主語の切り出しが正しいかの検算になります(第3講・第25講)。

EX 6|動名詞句が主語

Understanding why the experiment failed took the researchers several months.

Understanding 〔why the experiment failed〕 took the researchers several months.
動名詞 Understanding のかたまり全体
主節の V
took

なぜその実験が失敗したのかを理解するのに、研究者たちは数か月かかった。

主語が名詞ではなく動名詞句のこともあります(第2講)。failed は間接疑問の中の動詞。Understanding … failed までが主語で、took が主節の V です。

EX 7|入試レベル

The assumption, widely shared among economists at the time, that markets would correct themselves without intervention proved disastrously wrong.

The assumption, widely shared among economists at the time, 〔that markets would correct themselves without intervention〕 proved disastrously wrong.
The assumption
説明1(挿入)
widely shared … at the time(過去分詞句がコンマで挿入)
説明2(同格)
that markets … intervention
主節の V
proved

当時の経済学者に広く共有されていた、市場は介入なしに自律的に是正されるという前提は、破滅的なまでに誤っていることが判明した。

核の The assumption と、それを説明する同格の that 節のあいだに、コンマで挟まれた過去分詞句が挿入されています。挿入を外して読むと、The assumption … that markets … proved wrong という骨格が見えます。コンマで挟まれた部分は、いったん外して主語の骨格をつかむのが有効です(挿入は第32講)。

5. つまずきやすい形

(1) 主語の中の動詞に引っぱられない

長い主語には、説明節の中に動詞が入っています。The man who lives next door is a doctor.lives は関係詞節の中の動詞で、主節の V は is です。最初に出てくる動詞が主節の V とはかぎりません。

(2) 「名詞+名詞+動詞」は関係詞の省略を疑う

The car my father bought last year broke down. は、The car(名詞)+my father(名詞)+bought(動詞)という並び。あいだに目的格の関係代名詞が省略されています(第3講)。bought は主語の中、broke down が主節の V です。

(3) 主語と動詞の一致は強力な検算

The list of items we need to buy is on the table. の動詞は is(単数)。もし主語を items と読み違えていれば are を予想してしまいます。is だと確認できることが、核は The listという判断を裏づけます。

(4) it が形式主語のとき、本当の主語は後ろ

It is surprising that no one noticed the error.It は形式的な主語で、内容は that 節にあります。長い主語を前に置くと頭でっかちになるので、後ろに回す仕組みです(第20講)。この場合、主語の「終わり」を探すより、It が何を指すかを後ろに探します。

6. 入試ではこう出る

和訳問題では、主語の切り出しを誤ると、答案の主語と述語がずれます。とくに、主語の中の関係詞節や同格節を主節と取り違えると、文全体の主張がぼやけます。まず核の名詞を押さえ、述語動詞が出るまで主語が続くと構える――この一手が、長い一文の和訳を安定させます。

下線部和訳では、下線が主語の途中から始まることもあります。そのときこそ、核の名詞と、それを説明しているかたまりの範囲を正確に決める必要があります。京都大学や一橋大学のように、抽象的な長い主語を好む出題では、この切り出しの精度がそのまま得点になります。

7. 確認問題

各文の①主語の核 ②主語がどこで終わるか ③主節の述語動詞を決めてから開いてください。

(1) The number of applications the university received this year exceeded all expectations.

解答・解説を見る

核は The numberof applications(前置詞句)+the university received this year(関係代名詞の省略された節)が説明。主語は year まで。主節の V は exceeded。動詞が単数扱いなのは核が The number だからです。

その大学が今年受け取った出願の数は、あらゆる予想を上回った。

(2) A scientist working on problems that have no immediate application often struggles to secure funding.

解答・解説を見る

核は A scientistworking on problems(現在分詞句)+that have no immediate application(関係詞節)が説明。主語は application まで。主節の V は struggleshave は関係詞節の中の動詞です。

すぐには応用の利かない問題に取り組む科学者は、しばしば資金の確保に苦労する。

(3) The speed at which new technologies are adopted varies greatly from country to country.

解答・解説を見る

核は The speedat which new technologies are adopted(前置詞+関係代名詞の節)が説明。主語は adopted まで。主節の V は varies(単数)。〈前置詞+関係代名詞〉は第14講で扱います。

新しい技術が採用される速さは、国によって大きく異なる。

(4) Whether the new policy will reduce inequality remains a matter of debate.

解答・解説を見る

主語は Whether the new policy will reduce inequality という名詞節全体。核は名詞ではなく節です。主節の V は remainswill reduce は名詞節の中の動詞です(whether 節は第16・17講)。

新しい政策が不平等を減らすかどうかは、いまだ議論の的である。

(5) The theory, first proposed in the 1960s and later refined by several researchers, still shapes the field today.

解答・解説を見る

核は The theory。コンマで挟まれた first proposed … and later refined … は挿入された過去分詞句(2つが and で結ばれている)。挿入を外すと The theory … still shapes the field が骨格。主節の V は shapes

1960年代に最初に提唱され、のちに複数の研究者によって精緻化されたその理論は、今日でもその分野を形づくっている。

8. この講のまとめ

主語の核 名詞ひとつ(または名詞節・動名詞句)
核に付くもの 前置詞句・関係詞節・分詞句・不定詞句・同格=すべて核を説明する形容詞のかたまり
主語の終わり 説明のかたまりが終わり、時制を持つ述語動詞が現れる直前
構え 述語動詞を見るまで主語は続く。途中の動詞(説明節の中)に惑わされない
検算 主語と動詞の一致(単数・複数)/挿入はいったん外す

次の第6講では、述語動詞のうしろに来る「目的語と補語」を、イコールがあるかどうかで見分ける方法を扱います。第4講で芽を出した「O と C の区別」を、ここで決着させます。

次の講へ

長い一文で、主語を見失わない

主語の切り出しは、黙読しているときに最も差が出ます。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、核の名詞をどこに置き、どこまでを主語と判断したかを毎回言語化し、和訳の答案に落とすところまで担当講師が伴走します。

体験授業のご案内
大学受験英語コースを見る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です