2025年度 北海道大学 英語|解答・和訳・SVOCの独自解説
UBI、高齢者と家族、インバウンド観光、世代とデジタル技術を、公式問題・解答例と独自答案で整理
2025年度北海道大学前期日程の英語は、長文2題、資料を踏まえた70〜100語の意見英作文、会話要約の語句補充という4題構成です。本文を速く読むだけでなく、複数段落から根拠を集める日本語説明、文脈に合う語法、立場と理由を制限語数内でまとめる力が連続して問われます。
2025年度北大英語の全体構成
| 大問 | 年度固有の題材 | 主な形式 | 得点の中心 |
|---|---|---|---|
| I | ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI) | 内容一致、空所、内容説明 | 賛成根拠と批判への反証を区別する |
| II | 祖父母から受けた養育と高齢期の課題 | 内容一致、語彙、指示関係、和訳 | 愛情・回復力・公共心の三本柱を追う |
| III | 日本のインバウンド観光とオーバーツーリズム | 英文空所、70〜100語意見英作文 | 経済効果と住民負担を具体例で比較する |
| IV | 「Boomer」と呼ばれた教授の技術不安 | 会話要約12空所 | 発言を抽象語・言い換えへ変換する |
第I・II問では、一つの傍線だけを見ても答えが完成しない設問があります。前段落の原因と後段落の結果をつなぎ、答案に必要な要素だけを残す必要があります。第III問では本文の立場を再現するのではなく、自分の賛否を明示して理由を組み立てます。第IV問は会話中の具体的発言を要約文の抽象語へ置き換える問題です。四題は形式が違っても、「同じ内容を別の表現へ圧縮する」という共通技能で結ばれています。
大問I:UBIの利点・批判・実証研究
本文は、全市民へ無条件で最低限の所得を与えるUBIの定義から始まり、歴史的な提唱者、AIや自動化による雇用不安、所得格差への対応、代表的な批判、実証研究という順に進みます。最初から賛成一色ではありません。批判をいったん具体的に並べ、その後に研究結果で反証する構造を取っています。
問1はB、問2はD、問4はC、問6はA・Cです。問3は、所得格差が大恐慌前以来の水準へ達した状況で、この提案が明確な解決策を示す、という因果を押さえます。問5の解答例は、受給者がパートタイムではなく常勤職を探すために時間を使えるようになったことに加え、将来への不安が減り、より楽観的になった点をまとめています。
段落の役割を六つに切る
- UBIの定義と論点の予告
- 思想史上の先例
- AI・自動化が生む雇用変化
- 物価・賃金・所得格差への対応
- 怠惰や浪費を招くという批判
- 実験結果による批判の検証
問2ではAIに関する一般論を選ぶのではなく、本文が列挙した「労働者や芸術家がAIへ仕事を奪われる危険」を選びます。選択肢に本文中の単語があっても、因果の向きが違えば誤りです。問4はUBI批判に含まれない内容を選ぶ問題で、趣味・芸術・家族時間という肯定的な結果は批判者の列挙にありません。
問5の72字答案を作る手順
実験結果の段落から、感情面と就業面を一つずつ取ります。「不安が減り将来を楽観できた」が感情面、「パートタイムへ急いで就く代わりに常勤職を探す時間を得た」が就業面です。参加者が薬物や賭博へ使わなかった点も重要ですが、問われた効果を字数内で説明するときは、二つの直接的変化を優先します。答案を書いた後は、誰が、何をできるようになり、心理がどう変化したのかが明示されているかを確認します。
大問II:祖父母の愛情・回復力・公共心
語り手は祖父母の外見から話を始め、幼少期の養育、家族の死と健康問題からの回復、地域活動、高齢の家族と暮らす際の配慮へ展開します。冒頭で提示された unconditional love、resilience、civic-mindedness が、後続段落の具体例を分類する見取り図です。
問1はB・E、問3はA、問4はB、問5はB・C、問7はC・Eです。問2の解答例は、祖父母が語り手を助け、勉強を続ける動機づけを与えた点をまとめています。問6は、高齢の家族が経験する身体的変化や健康問題に向き合う必要があるため、同居を面倒だと考える人もいるかもしれない、という内容です。
三つの抽象語へ具体例を戻す
| 抽象語 | 本文での具体化 | 答案化するときの焦点 |
|---|---|---|
| love | 通学、宿題、食事、行事参加、助言 | 単なる感情ではなく継続的な養育行動 |
| resilience | 健康上の困難と家族の死を経て日常へ戻る | 困難そのものではなく立ち直る力 |
| civic-mindedness | 高齢者団体で支援企画と地域問題の解決に関わる | 個人への親切と地域への奉仕を区別 |
問3では二つの空所へ affection と resilience を入れます。最初の空所は養育の文脈なので愛情、次は死別から立ち直る文脈なので回復力です。問4の人物関係は、語り手の親の子を失ったという記述と語り手自身の位置を結びつけます。局所的な単語だけでなく家系上の関係を一段戻して考える必要があります。
問7の比喩では、年を重ねることを上質なワインに重ねています。ここから直接言えるのは、語り手が祖父母の愛情・回復力・社会的責任を受け継ぎたいことと、自身の老いを受け入れて味わいたいことです。「酒が好き」「学校で授業をしたい」といった表面的な連想は本文の含意ではありません。
和訳で主語を見失わない
高齢の家族との同居を扱う文は、having elderly family members at home が主語に相当し、because節が「なぜ面倒と考えるのか」を説明します。contend with は単に「戦う」ではなく、避けられない問題へ対処するという意味です。they go through のtheyは高齢の家族、go throughの目的語は身体的変化と健康上の懸念です。日本語では「彼らが経験する」と前から処理すると関係が明確になります。
大問III:インバウンド観光と70〜100語英作文
資料文は、訪日観光が経済・雇用・地方活性化へ与える便益と、観光地の収容力、自然・文化資産、住民生活へ与える負担を対比します。京都・祇園での写真撮影問題や鎌倉の踏切周辺の混雑が、抽象的なオーバーツーリズムを具体化しています。
Question Aは contributes / is contributing to と、expects to achieve / reach / fulfill を用います。Question Bは too many tourists (entering a destination) と、restrict tourists from entering が解答例です。Question Cには賛成94語、反対84語の二例が示され、単一の立場だけを正解としていません。
空所補充は前置詞まで一組で覚える
contribute to のtoは前置詞なので、後ろは名詞または動名詞です。expect O to do では、政府が目標を達成すると期待するため、expects to achieve its goal という形になります。restrict A from doing は「Aが〜するのを制限する」です。restrict entering tourists のような不自然な結合を避け、人と動作を分けます。
Inbound tourism contributes to revitalizing regional economies.
英作文は賛否より条件設定で差がつく
賛成なら、消費、雇用、文化交流などから二つを選びます。反対なら、交通・廃棄物・自然環境・住民生活から二つを選びます。どちらの立場でも、本文にある語を並べるだけでは論証になりません。「なぜその結果が起こるか」を動詞でつなぎ、最後に政策上の条件を示すと答案が締まります。
大問III型・日本英語塾の独自答案
I support inbound tourism only when local communities can control its scale. International visitors create jobs and help small businesses in many regions, especially outside major cities. However, simply increasing the national total can overcrowd transport, damage cultural sites, and make daily life harder for residents. The government should therefore set destination-specific limits, promote travel in less busy seasons, and use part of tourism revenue to improve public services. Tourism benefits Japan when growth is measured not only by visitor numbers but also by residents' quality of life.
和訳:私は、地域社会が規模を管理できる場合に限り、訪日観光を支持する。海外からの旅行者は多くの地域で雇用を生み、小規模事業者を助ける。これは特に大都市以外で重要である。しかし、全国の総数をただ増やせば、交通を過密にし、文化資産を傷つけ、住民の日常生活を難しくしかねない。したがって政府は、観光地ごとの上限を設け、閑散期の旅行を促し、観光収入の一部を公共サービス改善に使うべきだ。成長を旅行者数だけでなく住民の生活の質でも測るとき、観光は日本に利益をもたらす。
五文の役割
- 条件付きの賛成立場を明示する。
- 雇用と地域事業への便益を示す。
- 交通・文化・住民生活という三つの費用を示す。
- 上限、時期分散、収入の再投資という具体策を出す。
- 評価指標を旅行者数から生活の質へ広げる。
International visitors create jobs and help small businesses.
Tourism benefits Japan when growth is measured by residents' quality of life.
大問IV:「Boomer」と技術不安の会話要約
米国人教授は学生からBoomerと呼ばれ、技術を使えない古い人間として見下されたと感じます。日本人の同僚は、その解釈が行き過ぎかもしれないと指摘しつつ、教授がスマートフォンや表計算ソフトを十分使えていない事実も挙げます。最後には学内支援を提案しますが、日本語での説明を理解できるかという別の障壁が現れます。
1〜12は順に F, R, K, P, O, H, D, U, N, S, A, C です。語に直すと discouraged, safe, frustration, relate to, perspective, for, benefit, synonymous, overreaction, selectively, assistance, barrier となります。
会話表現から要約語への対応
| 会話の意味 | 要約で使う語 | 確認点 |
|---|---|---|
| 気分が落ち込んでいる | discouraged | 感情を表す過去分詞形 |
| 学生の視点から関係を築く | relate to / perspective | 動詞句と名詞を分ける |
| DIYと技術使用が同じとは限らない | synonymous | be synonymous withの語法 |
| 見下されたという推測は行き過ぎ | overreaction | 具体的発言を抽象名詞化 |
| 連絡手段を選択的に使う | selectively | 動詞usesを修飾する副詞 |
| 支援窓口で助けを受ける | assistance | 不可算名詞として扱う |
| 日本語が追加の障害になる | barrier | language barrierの連語 |
選択肢は品詞から先に絞れます。be experiencingの後ろには名詞、tries toの後ろには動詞、from theirの後ろには名詞、uses themの後ろには副詞が必要です。意味だけで選ぶとassistantとassistance、relaxedとsafeのような近い語に迷います。空所の左右を見て品詞と前置詞を固定し、それから会話との意味対応を確認します。
Were it not for technology は仮定法の倒置で、通常の語順なら If it were not for technology です。「技術がなければ」という意味になり、空所6はforです。要約問題でも構文知識が直接選択肢を決めるため、会話内容だけで解こうとしないことが重要です。
時間配分は持ち時間の比率で決める
年度の募集要項や受験票で実際の試験時間を確認したうえで、演習では持ち時間を100として管理します。固定の分数を全員へ当てはめず、自分の記述速度に合わせて調整してください。
英作文へ時間を残すため、大問I・IIの選択肢で迷ったときは根拠段落と暫定候補を記録して先へ進みます。第IV問は一つの空所へ固執せず、品詞が確実な箇所から埋めると未使用語が減り、難しい空所も判断しやすくなります。
2025年度で起こりやすい誤答と修正
批判段落には「怠惰・浪費」、次の研究段落には「不安軽減・生活改善」がある。誰の主張かを余白へ書く。
設問が求めるのは支給の効果。数値ではなく、就業行動と心理の変化を答案化する。
地域団体での支援は公共心、通学や宿題の支援は愛情として分類する。
完全な文のコピーは禁止されている。本文の語を利用しても、自分の主語・動詞・因果関係で組み直す。
人数、場所、季節、行動のどれを管理するのか具体化し、属性ではなく政策条件を論じる。
品詞、前置詞、連語を先に確認し、会話のどの発言を言い換えているか戻る。
7日間の復習計画
- 1日目:時間を測って全題を解き、迷った根拠位置を記録する。
- 2日目:公式正答と照合し、知識不足・根拠誤認・答案不足へ失点を分類する。
- 3日目:大問Iを「主張・批判・研究結果」の三列で再構成する。
- 4日目:大問IIを三つの人物特性と具体例へ分け、問6を自力で再和訳する。
- 5日目:大問IIIを反対の立場でも70〜100語で書き、二答案の動詞を比較する。
- 6日目:大問IVの選択肢を名詞・動詞・形容詞・副詞・前置詞へ分類する。
- 7日目:初回より短い時間で再演習し、記述答案と英作文だけを第三者が読める形で清書する。
よくある質問
2025年度の英語は学部別ですか
ここで扱うのは北海道大学一般選抜・前期日程の英語です。大学公式ページでも前期日程の科目「英語」として一つの問題冊子・解答例が公開されています。存在しない学部別英語ページへ分割していません。
公式解答例を暗記すればよいですか
記号・空所は照合に使えますが、記述と英作文は根拠の選び方を再現する必要があります。公式例の長文暗記より、自分の答案の不足要素を確認してください。
英作文は賛成と反対のどちらが有利ですか
公式資料は両方の例を示しています。自分が具体的な理由と政策条件を短く書ける側を選ぶ方が安定します。
問題本文をこのページだけで復習できますか
長文を転載していないため、精読には北海道大学公式PDFまたは正規過去問題集が必要です。このページは正答確認、構造整理、答案改善に使ってください。
一次資料・編集方針
- 北海道大学「令和7年度一般選抜個別学力検査等の試験問題及び正解・解答例等」
- 前期日程 英語 試験問題(大学公式PDF)
- 前期日程 英語 正解・解答例等(大学公式PDF)
- 大学入試英語記事の編集・検証方針
参照日:2026年8月7日。公式ページによる掲載期限は令和10年9月30日です。PDFのURL・公開状況は大学側の都合で変わる場合があります。
