難関大の比較|省略と欠所を戻す|難関大英語
― 省略と欠所を戻す
比較が難しいのは、than・as の後ろで大幅に省略が起きるからです。何と何を比べているかを復元し、欠所や倒置を戻せば、難関大の比較も必ず読めます。
比較の失点は、たいてい than / as の後ろの省略を復元できていないときに起きます。難関大は、than 節の中に欠所を作り、主語と動詞を倒置し、no more … than のような慣用を混ぜてきます。無料講座『英文の原理』第27講〜第29講を土台に、難関大の比較を読み切る手順を整理します。
1. 原理 ― 比較対象は同じ資格
比較の2つの対象は、同じ資格・同じ形で並ぶ。than / as の後ろは、前半とくり返しになる部分が省略される。何と何を比べているかを復元すれば、意味が確定する。
比較を読む第一歩は、何と何を、どの点で比べているかを確定すること。than / as の後ろは前半のくり返しなので省略されます。省略を前半から補い、比べている2つを同じ資格にそろえれば、比較は読めます。
2. 難関大の仕掛け
| 仕掛け | 中身 |
|---|---|
| than 節の欠所 | than が節の主語・目的語を兼ねる(than was expected) |
| than/as の倒置 | 主語が長いと〈動詞+主語〉(than do those who …) |
| that of / those of | 比較対象を同じ資格にそろえる代用(第27講) |
| no more … than | 両方否定のクジラ構文(第29講) |
3. 例文の解析
The reforms produced fewer benefits than had been promised to the public.
- than
- 主語を兼ねる(=than the benefits that had been promised)
その改革は、国民に約束されていたよりも少ない利益しか生まなかった。
People who read widely tend to write more clearly than do those who read only within their field.
- 倒置
- than + do + 長い主語。戻すと than those who … do(do = write の代動詞)
幅広く読む人は、自分の分野の中だけで読む人よりも、明晰に書く傾向がある。
主語が長い(those who read only within their field)ため倒置。標準形に戻すと、比べているのは「幅広く読む人が書く明晰さ」と「分野内だけで読む人が書く明晰さ」だと分かります。
The climate of the highlands is far milder than that of the surrounding lowlands.
- that
- =the climate(代用)。「高地の気候」と「周囲の低地の気候」を同じ資格で比較
- 注意
- than the surrounding lowlands(低地そのもの)だと「気候と土地」を比べる非文。that of で資格をそろえる
高地の気候は、周囲の低地の気候よりもはるかに穏やかだ。
A map is no more a substitute for the territory than a recipe is for a meal.
- no more … than
- 「レシピが食事の代わりにならないのと同様に、地図も土地の代わりにはならない」(両方否定)
レシピが食事の代わりにならないのと同じように、地図も現地の代わりにはならない。
than の後ろ(レシピと食事)は「明らかに代わりにならない例」。それと同じだと言うことで、前半(地図)を強く否定します。
4. つまずきやすい形
(1) than の後ろが不完全なら欠所に量を補う
than was expected / than had been promised のように than の直後が動詞なら、than が主語を兼ねる欠所。「予想された(量)より」と補います。
(2) than/as の後ろの倒置を戻す
than + 動詞 + 長い主語 は倒置(第28講)。標準の語順(主語+動詞)に戻して、比べている2つを確定します。
(3) 比較対象は that of / those of でそろえる
名詞の比較では that of / those of で対象をそろえます。これが抜けると「気候と土地」を比べる非文になります(第27講)。
(4) no more/less than と not more/less than
no は強調(クジラ構文・多さ少なさ)、not は上限・下限(せいぜい・少なくとも)。no more than 3=たった3/not more than 3=せいぜい3(第29講)。
5. 入試での効き
難関大の和訳では、than / as の後ろの省略を復元し、何と何を比べているかを明確に訳すことが問われます。The 比較級, the 比較級、代動詞 do を含む比較、no more … than は頻出。欠所を補い、倒置を戻し、比較対象をそろえる――この手順で、複雑な比較も崩れません。
並列(第25講)・省略(第26講)・比較(第27〜29講)は、難関大の評論で組み合わさって現れます。実際の年度の英文での現れ方は、大学別の解答解説で確認してください。
6. 確認問題
各文の比較について、①何と何を比べているか ②省略・倒置を戻した形を言えるようにしてから開いてください。
(1) The experiment yielded more data than the researchers knew how to analyze.
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than 節の目的語の欠所。=than the data (that) the researchers knew how to analyze。「研究者が分析のしかたを知っている以上のデータ」。analyze の目的語が欠所。
その実験は、研究者が分析のしかたを知っている以上のデータを生み出した。
(2) Rural households spend far more on transport than do their urban counterparts.
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than の倒置。=than their urban counterparts do(do = spend)。「都市部の世帯(が使う額)より、地方の世帯のほうがはるかに交通費を使う」。長い主語で倒置。
地方の世帯は、都市部の世帯よりもはるかに交通費に多く支出する。
(3) Being fluent in a language is no more the same as understanding its culture than knowing the rules of chess is the same as playing it well.
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no more … than(両方否定)。「チェスのルールを知ることが上手に指すことと同じでないのと同様に、言語が流暢なことはその文化を理解することと同じではない」。than の後ろが「明らかに別物」の例。
チェスのルールを知ることが上手に指すことと同じでないのと同じように、言語が流暢であることは、その文化を理解することと同じではない。
7. 次に読む
難関大の比較を、復元して読み切る
比較は「何と何を比べているか」を復元できれば、必ず読めます。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。than 節の欠所・倒置・クジラ構文まで、構造から正確に読む力を、添削で鍛えます。全国どこからでも受講できます。
