第32講 挿入・同格・言い換え|文を切るところ|英文の原理

英文の原理|第III部 動かされた英文を戻す|第32講
挿入・同格・言い換え
― 文を切るところ

コンマやダッシュで挟まれた部分は、いったん外して骨格をつかみます。挿入・同格・言い換えは、文の主線から一歩下がった補足です。

長い英文で迷子になる大きな原因が、コンマやダッシュ、丸かっこで挟まれた挿入です。これらは文の主線(骨格)から一歩下がった補足で、いったん外せば骨格が見えます。この講では、挿入・同格・言い換えを見分け、「外して読む→戻して補う」という第III部の技術で処理します。

1. 原理 ― 挟まれた補足は、いったん外す

原理 6(適用)

コンマ・ダッシュ・丸かっこで挟まれた部分は、文の骨格に必須ではない補足(挿入・同格・言い換え)。いったん外して主節の骨格をつかみ、あとで補足として戻す。

挟まれた部分を外すと、骨格がすっきり見えます。

The theory, first proposed in the 1960s, remains influential.
→ 外すと The theory remains influential.(骨格)

この first proposed in the 1960s は挿入された過去分詞句(第23講)。主語 The theory と述語 remains の間に割り込んでいます。コンマのペアを見たら、その間を外して主語と動詞をつなぐのが基本です(第5講の長い主語とも共通)。

2. 3つの型

働き 目印・例
挿入 語句・節を割り込ませる コンマ/ダッシュ/かっこのペア。, however, / , I think, / — indeed —
同格 名詞を別の名詞で言い換える 名詞, 名詞。Tokyo, the capital of Japan,
言い換え 直前を具体化・要約 ダッシュ/コロン。— that is, … / : namely …
同格は「名詞=名詞」の関係で、後ろの名詞が前の名詞の中身・別名を示します(第11講の同格の that 節も仲間)。that is / namely / in other words / for example / i.e. / e.g. は言い換え・具体化の合図。これらを見たら、前の内容を別の言い方で確認していると分かります。

3. 例文の解析

EX 1|挿入(主語と動詞の間)

The results, though preliminary, suggest a clear trend.

The results, though preliminary, suggest a clear trend.
挿入
though preliminary(=though they are preliminary/第26講の省略)
骨格
The results suggest a clear trend

その結果は、暫定的ではあるが、明確な傾向を示している。

EX 2|同格(名詞=名詞)

Marie Curie, the first person to win two Nobel Prizes, transformed modern science.

Marie Curie, the first person to win two Nobel Prizes, transformed modern science.
同格
the first person …Marie Curie(言い換え)

マリー・キュリーは、2度ノーベル賞を受賞した最初の人物であり、現代科学を一変させた。

コンマで挟まれた名詞句が、前の名詞の説明。「〜である」と同格で訳すか、非制限の関係詞のように「彼女は〜だが」と訳します。

EX 3|言い換え(ダッシュ)

The company focused on a single goal — reducing its environmental impact.

The company focused on a single goal — reducing its environmental impact.
ダッシュ以下
a single goal の中身を具体化(言い換え・同格)

その会社は、たった一つの目標――環境への影響を減らすこと――に集中した。

ダッシュは、直前の語を具体化・言い換えする合図。a single goalreducing … の同格です。

EX 4|言い換えの合図語

The study measured latency — that is, the delay between stimulus and response.

latency — that is, the delay between stimulus and response.
that is
言い換え「すなわち」。専門語 latency をやさしく言い直す

その研究は潜時――すなわち、刺激と反応の間の遅れ――を測定した。

that is / namely / in other words言い換えの合図。難語のあとに、その定義が続くことが多い。読解で意味を推測する手がかりになります。

EX 5|挿入節(I think など)

The best explanation, it seems, lies somewhere between the two extremes.

The best explanation, it seems, lies somewhere between the two extremes.
it seems
挿入節(=it seems that …)。骨格には含めない

最良の説明は、どうやら、その2つの両極のどこかにあるようだ。

it seems / I think / they say / of course などの挿入節は、話者の態度を添えるだけ。外して骨格をつかみ、あとで「〜のようだ」と補います。

EX 6|入試レベル

Language — perhaps the most human of all our abilities — allows us to share not only facts but also, and more remarkably, imagined worlds.

Language — perhaps the most human of all our abilities — allows us to share not only facts but also, and more remarkably, imagined worlds.
ダッシュの挿入
perhaps the most human …(同格的な補足)
コンマの挿入
and more remarkably(話者の評価)
骨格
Language allows us to share not only facts but also imagined worlds

言語は――おそらく私たちのあらゆる能力の中で最も人間的なものだが――事実だけでなく、そしてより驚くべきことに、想像上の世界をも共有することを可能にする。

ダッシュとコンマの挿入を2つとも外すと、骨格 Language allows us to share … facts … imagined worlds が見えます。挿入を外す→骨格→戻すで、複雑な文も崩れません。

4. つまずきやすい形

(1) コンマ・ダッシュはペアで探す

挿入は原則ペアの記号で挟まれます(コンマ〜コンマ、ダッシュ〜ダッシュ)。片方を見たら、もう片方を探して、その間を外します。文末の挿入は片方がピリオドになることもあります。

(2) 同格と主語の切れ目を混同しない

Tokyo, the capital, is huge.the capital は同格(挿入)で、主語は Tokyothe capital を主語と誤解しないこと。コンマのペアの間は、骨格の外です。

(3) 言い換えの合図で難語を推測

— that is / : namely / in other words の後ろは、前の語の言い換え。難語の意味を推測する手がかりになります。for example / e.g. は具体例、i.e. は言い換えです。

(4) 挿入の中の否定・評価に注意

挿入は骨格から外しますが、, however, / , on the contrary, のように論の流れを変える語が挿入されることもあります。骨格をつかんだうえで、挿入が示す論理関係(逆接・追加)は必ず拾います。

5. 入試ではこう出る

下線部和訳では、挿入を含む長い一文が狙われます。挿入を外して主語・動詞をつかみ、あとで挿入を補って訳す。同格は「〜である…は」や「…、それは〜」と訳し、言い換えは「すなわち」と処理します。挿入を骨格に混ぜると、主語と述語がずれます。

内容一致・空所補充では、that is / in other words の後ろが前の言い換えであることを利用して、難語の意味や筆者の主張を特定します。挟まれた部分は補足、合図語は言い換え――この整理が、抽象度の高い文章を読む助けになります。

6. 確認問題

各文の挿入・同格・言い換えを①いったん外した骨格 ②挟まれた部分の働きを言えるようにしてから開いてください。

(1) The proposal, which had taken months to prepare, was rejected in minutes.

解答・解説を見る

骨格:The proposal was rejected in minutes.コンマで挟まれた which had taken months to prepare は非制限の関係詞節(挿入・第15講)。「数か月かけて準備された提案は、数分で却下された」。

その提案は、準備に数か月かかったが、数分で却下された。

(2) Photosynthesis — the process by which plants make food — depends on sunlight.

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骨格:Photosynthesis depends on sunlight.ダッシュで挟まれた the process by which … は同格(Photosynthesis の定義)。「光合成――植物が食物を作る過程――は日光に依存する」。

光合成――植物が食物を作る過程――は、日光に依存している。

(3) Many nocturnal animals — bats, for instance — rely heavily on hearing.

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骨格:Many nocturnal animals rely heavily on hearing.bats, for instance は具体例の挿入。「夜行性の動物の多く――たとえばコウモリ――は聴覚に大きく依存する」。

夜行性の動物の多く――たとえばコウモリ――は、聴覚に大きく依存している。

(4) The device measures humidity; that is, the amount of water vapor in the air.

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言い換え(that is)。humiditythe amount of water vapor in the air と言い直している。「その装置は湿度――すなわち空気中の水蒸気の量――を測定する」。

その装置は湿度、すなわち空気中の水蒸気の量を測定する。

(5) His argument, however elegant, rests on a questionable assumption.

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骨格:His argument rests on a questionable assumption.however elegant は譲歩の挿入(=however elegant it is/第26講)。「彼の議論は、どれほど洗練されていようと、疑わしい前提に基づいている」。挿入の譲歩は論理関係として拾う。

彼の議論は、どれほど洗練されていようと、疑わしい前提に基づいている。

7. この講のまとめ

挿入 コンマ/ダッシュ/かっこのペアで挟む。外して骨格をつかむ
同格 名詞=名詞。前の名詞の中身・別名を示す
言い換え that is / namely / in other words。前を具体化・要約
手順 ペアの記号を探す → 間を外す → 骨格を確定 → 補足を戻す
注意 挿入の中の逆接・追加(however)は論理として拾う

次の第33講では、読み間違いの温床になる否定を扱います。部分否定・全否定・準否定、そして否定がどこまで及ぶか(作用域)を、構造から整理します。

次の講へ

挟まれた補足を外して、骨格を読む

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