第31講 強調構文と形式主語の識別|英文の原理

英文の原理|第III部 動かされた英文を戻す|第31講
強調構文と形式主語の識別

It is 〜 that の形は、強調構文・形式主語・ただの代名詞のどれか。外して文が成立するかで、一瞬に見分けます。

第12講で強調構文を、第20講で形式主語を扱いました。この講で、紛らわしい It is 〜 that … の3つの可能性――強調構文・形式主語・ただの代名詞――を、一つの判定法でまとめて識別します。判定は単純で、It isthat を外して文が成立するかを見るだけ。第III部の「標準形に戻す」発想がここでも効きます。

1. 原理 ― It is と that を外してみる

原理 4・6(総合)

It isthat を取り除いて、残りが完全な文として成立すれば強調構文。成立せず、that 以下が名詞のかたまりとして主語になれれば形式主語。どちらでもなければ、It はただの代名詞、that は関係詞などである。

種類 判定 It の意味
強調構文 It is/that を外すと文が成立 訳さない(強調の枠)
形式主語 that節(完全)が本物の主語 訳さない(後ろを指す)
代名詞 上のどちらでもない 「それ」(前を指す)

2. 3つの判定を実際に

強調構文It was John that broke the window.
→ 外すと John broke the window.(成立)✓ 強調構文
形式主語It is clear that he lied.
→ 外すと Clear he lied.(不成立)/that he lied は完全な名詞節 → 形式主語
代名詞It is the book that I lost. …文脈次第だが、It が前の何かを指すなら代名詞+関係詞
決め手の補助:強調構文では thatwho/which に替えられ、強調される語が人なら who、時・場所の副詞でも成立します。形式主語that は接続詞で、who/which に替えられません。第12講の「副詞を強調すると後ろが完全に見える」も、この外す判定なら迷いません。

3. 例文の解析

EX 1|強調構文(目的語を強調)

It was the unexpected result that forced them to rethink the whole theory.

It was the unexpected result that [S欠] forced them to rethink the whole theory.
外すと
The unexpected result forced them …(成立)→ 強調構文
強調
the unexpected result(主語を強調)

彼らに理論全体を考え直させたのは、その予想外の結果だった。

EX 2|形式主語

It is remarkable that such a simple idea took so long to emerge.

It is remarkable 〔that such a simple idea took so long to emerge〕.
外すと
Remarkable such a simple idea took …(不成立)→ 形式主語
本物の主語
that 節(完全)

これほど単純な考えが現れるのにこれほど長くかかったのは、注目に値する。

EX 3|副詞を強調する強調構文

It was only after repeated failures that the team finally succeeded.

It was only after repeated failures that the team finally succeeded.
外すと
Only after repeated failures the team finally succeeded.(成立)→ 強調構文
強調
副詞句 only after repeated failures

繰り返しの失敗の後で初めて、そのチームはついに成功した。

副詞句を強調すると that の後ろが完全に見えます(第12講)。それでも It is/that を外して成立するので強調構文だと分かります。

EX 4|形式主語(it … to do)

It took years of effort to bring the project to completion.

It took years of effort 〔to bring the project to completion〕.
it
形式主語。本物は to bring …(第20講)

そのプロジェクトを完成させるには、何年もの努力を要した。

EX 5|代名詞の it

The manuscript was fascinating, but it was the margin notes that intrigued me most.

it was the margin notes that [S欠] intrigued me most.
後半
外すと the margin notes intrigued me most(成立)→ 強調構文

その写本は魅力的だったが、私を最も引きつけたのは欄外の書き込みだった。

前半の it(もし単独なら代名詞)と、後半の強調構文の it は別。It is 〜 that を、その都度「外して成立するか」で判定します。

EX 6|入試レベル

It is not that the theory is wrong, but that it applies only under conditions rarely met in practice.

It is not 〔that the theory is wrong〕, but 〔that it applies only under conditions 〔rarely met in practice〕〕.
It is not that … but that …
「〜というわけではなく、〜ということだ」。2つの that 節が補語

その理論が誤っているというわけではなく、実際にはめったに満たされない条件下でのみ当てはまる、ということだ。

It is not that A but that B は「A ではなく B ということだ」の頻出型。It is/that を外しても文にならないので強調構文ではなく、that 節が補語の形です。型として押さえると速く読めます。

4. つまずきやすい形

(1) まず「外して成立するか」

迷ったら機械的に It isthat を消してみる。残りが完全な文=強調構文。残りが文にならず that 節が名詞節=形式主語。これが最速の判定です。

(2) 強調構文は who/which に替えられる

強調される語が人なら that → who、物なら that → which に替えられます。形式主語の接続詞 that は替えられません。補助的な確認に使えます。

(3) It is 形容詞 that はたいてい形式主語

It is clear/true/likely/obvious that … は形式主語(that 節が真主語)。強調構文の It is の後ろには、強調される名詞・副詞(句)が来ます。後ろが形容詞なら形式主語と当たりをつけられます。

(4) It is not that … but that … の型

「A ではなく B ということだ」。理由や事情を説明するときの頻出型。強調構文とも形式主語とも違う、that 節が補語の形として覚えます。

5. 入試ではこう出る

和訳問題では、強調構文を「それは〜だ」と代名詞のように訳す誤りが多い。強調構文の It は訳さず、「〜こそが/〜なのは…だ」と強調を反映して訳します。形式主語も It を訳さず、後ろの that 節・不定詞を主語として訳します。

文法問題では、It is 〜 thatthat が強調構文か関係詞か、あるいは what が入るかを問う出題があります。外して成立するか+後ろの完全・不完全で判定します。第III部を通じて繰り返してきた「標準形に戻す」「欠所を見る」が、ここで総合的に使えます。

6. 確認問題

各文の It is 〜 that①強調構文・形式主語・代名詞のどれか ②根拠(外して成立するか)を言えるようにしてから開いてください。

(1) It was her persistence, not her talent, that eventually won recognition.

解答・解説を見る

強調構文。外すと Her persistence … eventually won recognition(成立)。主語 her persistence を強調。「最終的に評価を勝ち取ったのは、才能ではなく粘り強さだった」。

最終的に評価を勝ち取ったのは、彼女の才能ではなく粘り強さだった。

(2) It is doubtful that the results can be replicated.

解答・解説を見る

形式主語。外すと Doubtful the results …(不成立)。that 節(完全)が本物の主語。It is 形容詞 that の典型。「その結果が再現できるかは疑わしい」。

その結果が再現できるかどうかは疑わしい。

(3) It was in Vienna that the two scientists first met.

解答・解説を見る

強調構文(副詞句を強調)。外すと In Vienna the two scientists first met(成立)。場所の副詞句 in Vienna を強調。「その2人の科学者が初めて会ったのは、ウィーンでだった」。

その2人の科学者が初めて会ったのは、ウィーンでだった。

(4) It makes no difference whether we start now or later.

解答・解説を見る

形式主語(whether節)。本物の主語は whether we start now or laterIt は訳さない。「今始めようが後で始めようが、違いはない」。

今始めようと後で始めようと、違いはない。

(5) It is not that he lacks ability, but that he lacks confidence.

解答・解説を見る

It is not that … but that …(補語の that 節)。「能力が足りないのではなく、自信が足りないのだ」。強調構文でも通常の形式主語でもない、説明の頻出型。

彼に能力が足りないのではなく、自信が足りないのだ。

7. この講のまとめ

判定法 It isthat を外して成立→強調構文/不成立でthat節が主語→形式主語
強調構文 It は訳さない。that→who/which 可。強調は「〜こそ」
形式主語 It is 形容詞 that はたいてい形式主語。It は後ろを指す
代名詞 上のどちらでもなければ「それ」
頻出型 It is not that A but that B「AではなくBということだ」

次の第32講では、文の流れを切る挿入・同格・言い換えを扱います。コンマやダッシュで挟まれた部分をいったん外し、骨格をつかむ技術で、第III部を締めくくりに向かわせます。

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It is 〜 that を、外して見分ける

強調構文・形式主語・代名詞の判定は、外して成立するかを見るだけ。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、紛らわしい It is 〜 that を一瞬で識別し、正確に訳す力をつけます。

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