第24講 分詞構文|副詞節に戻して読む|英文の原理

英文の原理|第II部 かたまりを見抜く|第24講
分詞構文
― 副詞節に戻して読む

分詞構文は、副詞節から「接続詞と主語」を省いて短くしたものです。省かれた接続詞を補えば、意味は自然に決まります。

第II部の最後です。文頭や文末に置かれた -ing / -ed のかたまり(分詞構文)は、多くの学習者が訳に迷う形です。しかし正体は単純で、副詞節(第18講)から接続詞と主語を省いて、動詞を分詞に変えたもの。だから、元の副詞節に戻せば読めます。省略を復元するという、第III部(第25講以降)へつながる読み方でもあります。

1. 原理 ― 分詞構文は「短くした副詞節」

原理 3・6(適用)

分詞構文は、副詞節から接続詞と(主節と同じ)主語を省き、動詞を分詞にしたもの。副詞の働きをし、時・理由・条件・付帯状況・連続などを表す。意味上の主語は原則、主節の主語。

できあがる過程を逆にたどると、正体が見えます。

Because she felt tired, she went to bed early.
→(接続詞 Because を省く)→ She feeling tired, …
→(主語 she が主節と同じなので省く・動詞を分詞に)→ Feeling tired, she went to bed early.

だから、分詞構文を読むときは逆をやります。分詞を動詞に戻し、主節の主語を補い、文脈に合う接続詞を補う。これで自然な副詞節になります。

2. 副詞節に戻す ― 補う接続詞の候補

意味 補う接続詞 ヒント
when / while / as 主節と同時・前後
理由 because / since / as 主節の原因
条件 if 「〜すれば」
譲歩 although / though 「〜だが」
付帯状況・連続 and / while 「〜しながら/そして〜」(文末に多い)
どの意味かは文脈で決まります。ただし、文頭の分詞構文は時・理由・条件が多く、文末の分詞構文は付帯状況・連続(「〜しながら」「そして〜」)が多い、という傾向があります。まず動作の前後関係と因果を見て、いちばん自然な接続詞を選びます。

3. 例文の解析

EX 1|文頭・理由

Lacking sufficient data, the researchers postponed their conclusion.

Lacking sufficient data, the researchers postponed their conclusion.
戻すと
Because they lacked sufficient data, …(理由)
意味上の主語
the researchers(主節と同じ)

十分なデータがなかったので、研究者たちは結論を先延ばしにした。

EX 2|文末・付帯状況(連続)

The storm swept across the coast, destroying dozens of homes.

The storm swept across the coast, destroying dozens of homes.
戻すと
… and destroyed dozens of homes(連続・結果)

嵐は海岸を襲い、何十もの家を破壊した。

文末の分詞構文は「そして〜した」(連続)が自然。前から順に訳すと流れが合います。

EX 3|完了形の分詞構文(主節より前)

Having submitted the application, she waited anxiously for a reply.

Having submitted the application, she waited anxiously for a reply.
Having submitted
完了形 → 主節(waited)より前の話
戻すと
After she had submitted …

申請書を提出したあと、彼女は不安な気持ちで返事を待った。

Having+Vpp は「〜したあとで」と、時間差を示します(第2講)。

EX 4|受動の分詞構文

Written over a century ago, the novel still speaks to readers today.

Written over a century ago, the novel still speaks to readers today.
Written
過去分詞の分詞構文(受動)。=Although it was written …(譲歩)

一世紀以上前に書かれたが、その小説は今も読者に語りかける。

過去分詞で始まる分詞構文は受動。(Being) WrittenBeing が省かれた形です(第23講)。

EX 5|独立分詞構文(意味上の主語が別)

The weather being fine, they decided to walk to the station.

The weather being fine, they decided to walk to the station.
The weather
分詞 being の意味上の主語(主節の they と違う)→ 省かずに残す

天気が良かったので、彼らは駅まで歩くことにした。

分詞の主語が主節と違うときは、省かずに分詞の前に残します(独立分詞構文)。Weather permitting(天気が許せば)などが定番です。

EX 6|入試レベル

Faced with mounting criticism and unable to defend the original plan, the board withdrew it, promising a full review.

Faced with mounting criticism and unable to defend the original plan, the board withdrew it, promising a full review.
Faced with … / unable to …
文頭・理由(受動の分詞構文+形容詞句が and で並列)
promising …
文末・連続「そして〜と約束した」
意味上の主語
すべて the board

高まる批判に直面し、当初の計画を擁護できなかったので、取締役会はそれを撤回し、全面的な見直しを約束した。

文頭に理由(受動の分詞構文)、文末に連続。骨格 the board withdrew it を先につかみ、前後の分詞を副詞節に戻して読みます。

4. つまずきやすい形

(1) Being は省略されることが多い

受動(Being written → Written)や、形容詞・名詞が続く形(Being unable → Unable)では、Being が省かれます。文頭の過去分詞・形容詞・名詞は、Being が省かれた分詞構文と考えると読めます。

(2) 意味上の主語がずれる「懸垂分詞」

分詞構文の意味上の主語は、原則、主節の主語です。これがずれると誤り(懸垂分詞)。Walking to school, the rain started.(雨が歩く?)は不自然。主語が違うなら独立分詞構文(EX 5)にします。分詞構文を見たら、その動作主が主節の主語かを確認します。

(3) 慣用的な分詞構文

generally speaking(一般的に言えば)、judging from(〜から判断すると)、considering(〜を考慮すると)、given that(〜を考えると)。これらは意味上の主語を気にせず、慣用として覚えます。

(4) 接続詞を残した分詞構文

意味を明確にするため、接続詞を残すことがあります。When crossing the street, look both ways.When (you are) crossing)。while / when / if / though + 分詞の形です。

5. 入試ではこう出る

和訳問題では、分詞構文を適切な接続詞で補って訳すことが問われます。文頭なら時・理由・条件、文末なら連続・付帯状況が多い、という傾向を踏まえ、文脈でいちばん自然な意味を選びます。完了形(Having done)や受動(Written)の情報も訳に反映させます。

整序・空所問題では、Being の省略、独立分詞構文、懸垂分詞の正誤が狙われます。分詞の意味上の主語が主節の主語と一致するかが判断の軸です。読解では、文頭・文末の分詞を副詞節に戻して、主節の骨格を素早くつかむ力が、長文の速さを支えます(第5・7講)。

6. 確認問題

各文の分詞構文を①元の副詞節に戻す(接続詞を補う)②意味上の主語を確認してから開いてください。

(1) Seen from the hilltop, the village looks like a painting.

解答・解説を見る

受動の分詞構文(条件・時)。When it is seen from the hilltop, …Being 省略。意味上の主語は the village(見られる側)。「丘の上から見ると、その村は絵のように見える」。

丘の上から見ると、その村は絵のように見える。

(2) The negotiations broke down, leaving both sides frustrated.

解答・解説を見る

文末・連続(結果)。… and left both sides frustrated。「交渉は決裂し、その結果、双方が不満を抱えた」。leaving O C(第5文型)。

交渉は決裂し、双方が不満を抱えることになった。

(3) Having failed twice before, he approached the third attempt cautiously.

解答・解説を見る

完了形・理由(時)。Because he had failed twice before, …。主節より前の話。「以前2度失敗していたので、彼は3度目の挑戦に慎重に臨んだ」。

以前2度失敗していたので、彼は3度目の挑戦に慎重に臨んだ。

(4) All things considered, the project was a success.

解答・解説を見る

独立分詞構文(慣用)。All thingsconsidered の意味上の主語。「すべてを考慮すると」。considering / given と同系統の慣用表現です。

すべてを考慮すると、そのプロジェクトは成功だった。

(5) Not having received a reply, she decided to call directly.

解答・解説を見る

否定+完了の分詞構文(理由)。否定は Not を分詞の前に。=Because she had not received a reply, …。「返事をもらっていなかったので、直接電話することにした」。

返事をもらっていなかったので、彼女は直接電話することにした。

7. この講のまとめ

分詞構文 副詞節から接続詞と主語を省き、動詞を分詞にしたもの(副詞)
読み方 分詞を動詞に戻し、主節の主語を補い、文脈に合う接続詞を補う
傾向 文頭=時・理由・条件/文末=連続・付帯状況
完了・受動 Having done=主節より前/(Being) done=受動
独立分詞構文 意味上の主語が主節と違えば省かず残す(Weather permitting

これで第II部(かたまりを見抜く)が完成しました。thatwhatas・関係詞・不定詞・分詞――英文で判断を迷わせる形を、すべて「位置」と「完全・不完全」で識別できます。次の第III部(第25講〜)では、動かされた英文――等位接続・省略・比較・倒置――を「標準形に戻して読む」技術に入ります。

次の講へ

分詞構文を、副詞節に戻して読む

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