第22講 -ing の3択|動名詞・現在分詞・分詞構文|英文の原理
― 動名詞・現在分詞・分詞構文
-ing は、名詞(動名詞)・形容詞(現在分詞)・副詞(分詞構文)の3つの働きをします。どれかは、やはり位置で決まります。
不定詞(第20・21講)と同じ発想で、-ing も片づきます。-ing には3つの顔がありますが、それは第8講の3つの働き(名詞・形容詞・副詞)そのもの。名詞の位置なら動名詞、名詞の直後なら現在分詞、それ以外なら分詞構文。位置を見れば一瞬で決まります。
1. 原理 ― -ing の3つの顔は、3つの働き
-ing が名詞の位置(主語・目的語・補語・前置詞の後ろ)なら動名詞。名詞の直後なら現在分詞(その名詞を説明)。それ以外なら分詞構文(副詞)。
| 働き | 名前 | 位置 | 例 |
|---|---|---|---|
| 名詞 | 動名詞 | 主語・目的語・補語・前置詞の後ろ | Reading is fun. |
| 形容詞 | 現在分詞 | 名詞の直後(または be の後ろ=進行形) | the man reading |
| 副詞 | 分詞構文 | 文頭・文末などでコンマ付き | Reading it, he … |
be + -ing は進行形で、-ing は述語動詞の一部(第1講)。それ以外の裸の -ing が、この3択の対象です。
2. 動名詞と現在分詞 ― 名詞修飾で紛らわしい形
とくに紛らわしいのが、名詞+名詞のように見える -ing +名詞です。これは「動名詞+名詞」か「現在分詞+名詞」かで意味が変わります。
| 形 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 動名詞+名詞 | 用途・目的(〜のための) | a sleeping bag(寝るための袋) |
| 現在分詞+名詞 | 動作・状態(〜している) | a sleeping baby(眠っている赤ん坊) |
3. 例文の解析
Maintaining old software often costs more than replacing it.
- Maintaining
- 主語の位置 → 動名詞(名詞)
- replacing
- 前置詞 than の後ろ → 動名詞
古いソフトを維持することは、しばしばそれを置き換えるより費用がかかる。
The company hired a firm specializing in cyber security.
- specializing
- 名詞 a firm の直後 → 現在分詞(後置修飾)
その会社は、サイバーセキュリティを専門とする会社を雇った。
名詞+-ing+… は、関係代名詞+be の省略とも見られます(a firm (which is) specializing …)。後置修飾は第5講で見た「長い主語・目的語」の一因です。
Having lived abroad for years, she adapted to the new office easily.
- Having lived
- 文頭・コンマ付き → 分詞構文(副詞)。完了形で主節より前の話
- 意味上の主語
- she(主節の主語)
何年も外国で暮らしていたので、彼女は新しい職場に難なく適応した。
分詞構文は第24講で詳しく扱います。ここでは「文頭・コンマ付きの -ing=副詞」と位置で判断できれば十分です。
a waiting room / a waiting passenger
a waiting passenger … 現在分詞(待っている乗客)
- room
- 待たない → 用途 → 動名詞
- passenger
- 待つ(動作) → 現在分詞
待合室/待っている乗客
Would you mind my opening the window?
- my
- 動名詞 opening の意味上の主語(所有格)。開けるのは「私」
窓を開けてもかまいませんか。
動名詞の動作主が主節と違うときは、所有格(または目的格)で示します(第2講)。my/his/their opening。
Understanding a problem clearly is often more valuable than solving it quickly, a principle guiding much of modern research.
- Understanding
- 主語 → 動名詞
- solving
- 前置詞 than の後ろ → 動名詞
- guiding
- 名詞 a principle の直後 → 現在分詞(後置修飾)
問題を明確に理解することは、しばしばそれを速く解くことより価値がある――現代の研究の多くを導く原則だ。
3つの -ing が、動名詞・動名詞・現在分詞と使い分けられています。位置を見るだけで順に決まります。
4. つまずきやすい形
(1) 前置詞の後ろは動名詞(不定詞は不可)
good at swimming(swim ではない)、before leaving。前置詞の後ろに動詞を置くときは -ing(動名詞)。to が前置詞のとき(look forward to -ing)も同じです(第2講)。
(2) 動名詞のみ・不定詞のみを取る動詞
enjoy / finish / avoid / mind / give up は動名詞のみ。want / hope / decide / promise は不定詞のみ。不定詞は「これから」、動名詞は「すでに・一般的に」という傾向から当たりをつけられますが、例外もあるので用例で確かめます(第2講)。
(3) 動名詞と現在分詞の意味の差(stop / remember)
stop doing(〜するのをやめる)/stop to do(〜するために立ち止まる)。remember doing(〜したのを覚えている)/remember to do(〜するのを覚えている=忘れず〜する)。動名詞は「すでにあること」、不定詞は「これから」の傾向です。
(4) 名詞+-ing は後置修飾(関係詞+be の省略)
the students taking the exam=the students who are taking the exam。名詞の直後の -ing は、関係代名詞+be が省略された後置修飾と考えると、長い主語(第5講)が読みやすくなります。
5. 入試ではこう出る
文法問題では、動名詞のみ/不定詞のみを取る動詞の区別、前置詞の後ろの動名詞、stop/remember/forget/try の doing と to do の意味差が定番です。「すでに(動名詞)/これから(不定詞)」という傾向で候補を絞り、用例で確認します。
読解では、名詞の直後の -ing(現在分詞の後置修飾)が、主語や目的語を長くしています。the factors driving this change(この変化を引き起こしている要因)のような形を、関係詞+beの省略と見て素早く処理できるかが速さを決めます。
6. 確認問題
各文の -ing が①動名詞・現在分詞・分詞構文のどれか ②根拠(位置)を言えるようにしてから開いてください。
(1) The report describing the incident was released yesterday.
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現在分詞(後置修飾)。名詞 The report の直後で、それを説明。=the report which describes …。主節の動詞は was released。
その事件を記述した報告書は、昨日公開された。
(2) Avoiding conflict is not always the wisest strategy.
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動名詞(主語)。主語の位置。「対立を避けることは、必ずしも最も賢明な戦略ではない」。
対立を避けることが、必ずしも最も賢明な戦略とはかぎらない。
(3) Not knowing the local language, the tourists relied on gestures.
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分詞構文(副詞)。文頭・コンマ付き。否定は Not を -ing の前に置く。「現地の言葉を知らなかったので、観光客は身ぶりに頼った」。意味上の主語は the tourists。
現地の言葉を知らなかったので、観光客たちは身ぶりに頼った。
(4) She is good at explaining complex ideas simply.
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動名詞(前置詞の後ろ)。at の後ろなので動名詞。「複雑な考えを簡単に説明することが得意だ」。前置詞の後ろは不定詞ではなく -ing。
彼女は、複雑な考えを簡単に説明するのが得意だ。
(5) a running track / a running dog
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a running track =動名詞(走るためのトラック=陸上競技場)/a running dog =現在分詞(走っている犬)。track は走らない(用途)→ 動名詞、dog は走る(動作)→ 現在分詞。
陸上トラック/走っている犬
7. この講のまとめ
| 動名詞 | 名詞の位置(主語・目的語・補語・前置詞の後ろ) |
|---|---|
| 現在分詞 | 名詞の直後(後置修飾)=関係詞+beの省略/be+ingは進行形 |
| 分詞構文 | 文頭・文末のコンマ付き(副詞)=第24講 |
| -ing+名詞 | 動作主なら現在分詞(sleeping baby)/用途なら動名詞(sleeping bag) |
| 意味上の主語 | 所有格・目的格(my opening) |
次の第23講では、過去分詞(-ed/-en)を扱います。受動・完了・後置修飾の3つの現れ方を、位置と直前の語(be/have)で見分けます。第1講の「裸の過去分詞」の話が、ここで完成します。
次の講へ
-ing の3択を、位置で仕留める
動名詞・現在分詞・分詞構文の区別は、置かれた位置で決まります。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、名詞を長くする後置修飾の -ing まで、構造から素早く処理する力をつけます。
