2025年度 東京大学 英語|模範解答・全大問の独自解説
要約・自由英作文・和文英訳・リスニング・英文和訳・長文読解を、答案の作り方から復習まで独自に解説します。
2025年度の東大英語は、120分で大問5題を処理する例年型の総合問題です。しかし、形式が同じだから解き方も同じ、とは限りません。第1問(A)では科学の進歩によって揺らぐ「死」の定義、第2問(A)では「意見を言わないことは同意を意味するか」、第5問では病気を抱える筆者とラマダーンの断食が扱われました。本記事では、正答を並べるだけでなく、どの情報を答案に残すか、英文をどの骨格から組み立てるか、誤答を次年度へどう生かすかを大問別に説明します。
2025年度の出題構成と攻略の軸
| 大問 | 主な形式・題材 | 答案作成の軸 |
|---|---|---|
| 第1問 | 日本語要約/文補充・語句整序 | 段落の具体例を「科学の進歩・死の判定・生の本質」という因果へ圧縮する |
| 第2問 | 60〜80語の自由英作文/和文英訳 | 沈黙と同意を短絡させず、反対例を一つ示す。和訳は省略された主語を補う |
| 第3問 | 蝶の移動・蝶の収集・都市の植生に関する聞き取り | 固有名詞の書き取りより、変化・原因・比較対象を記録する |
| 第4問 | ゲームのルールの正誤判定/検閲の起源の英文和訳 | 文法項目を順番に点検し、和訳では語の辞書的意味を文脈へ合わせる |
| 第5問 | 病気とラマダーンを扱う随筆読解 | 宗教的実践、身体の制約、罪悪感という三層を分けて読む |
予備校の分析では総英文量が約2,800語とされ、問題形式に大きな変更はありませんでした。ただし、第5問の客観問題には言い換え判断が増え、下線部和訳も戻っています。すべてを同じ速度で読むのではなく、要約では論旨、リスニングでは関係、随筆では筆者の感情変化というように、設問ごとに読む目的を切り替える必要があります。
第1問|要約・文補充・語句整序
1(A) 「死の定義」を70〜80字へ圧縮する
本文の中心は、医療・脳科学の進歩が死の判定を単純にしたという話ではありません。むしろ、従来なら死と判断された状態でも身体機能を維持できるようになり、文化・宗教・法が前提としてきた境界が揺らいだこと、さらに技術が「生きているとは何か」という問いまで生んだことが論旨です。人工呼吸器、国際的な診断指針、動物実験などの例を全部残すと、字数を使い切って因果が消えます。
医療や脳科学の進歩は、社会が共有してきた死の基準を揺るがし、判定を複雑で曖昧にしただけでなく、生を操作することで「生きるとは何か」という根本問題も生んだ。
- 原因:医療・脳科学・技術の進歩
- 既存の前提:社会や文化が共有してきた死の定義
- 直接の結果:死の判定が複雑で曖昧になること
- 射程の拡大:生の操作が、生の本質に関する問いを生むこと
書き直し手順:まず「科学の進歩→死の定義が揺らぐ→生の本質も問われる」と矢印で書きます。次に本文の例をこの3区分へ振り分け、答案では区分名だけを残します。「〜したが」のような逆接を使うなら、前後が本当に対立しているかを確認してください。単なる追加なら「だけでなく」の方が論理を正確に表せます。
1(B) 文補充は指示語、整序は from A to B
題材は、人間の言語と動物のコミュニケーションの違いです。文補充では、空所直後の they が何を指すか、however がどの主張を反転するか、具体例の one や some がどの名詞を受けるかを確認します。選択肢を単独で「もっともらしい」と判断せず、前後二文との接続を説明できるものだけを残します。
the study of the ways speech sounds are produced
「音声が生成される仕組みの研究」。全体では extend from A to B のA側を作ります。
- 主語
- speech sounds。「話す音」ではなく、言語音・音声というまとまりです。
- 動詞
- are produced は受動態。「音声が生成される」。行為者より生成方法が焦点なので受動が自然です。
- 節
- the ways (in which) speech sounds are produced では関係詞が省略されています。waysの後ろに完全な説明節を置きます。
- 修飾
- of the ways ... がstudyの内容を限定し、その全体がfromの目的語になります。
第2問|自由英作文・和文英訳
2(A) 「沈黙は同意か」に60〜80語で答える
設問は「意見を言わないことは同意を意味する」という主張への見解を理由付きで書かせます。賛否のどちらでも構いませんが、「場合による」で止めると立場が見えません。最初に原則的な立場を置き、沈黙が生じる別の理由を具体化し、最後に沈黙だけから同意を推定する危険へ戻すと、短い語数でも一貫します。
Silence does not always mean agreement. People sometimes avoid speaking because they lack enough information, fear damaging a relationship, or feel that the setting is unsafe. For example, a student may remain quiet when a powerful teacher makes an unfair claim, even though the student strongly disagrees. We should therefore ask for a person's view instead of treating the absence of an objection as clear support. Silence is ambiguous, while genuine agreement requires an opportunity to respond freely.
1文ずつの和訳とSVOC
Silence does not always mean agreement.
沈黙が常に同意を意味するとは限らない。
not always は部分否定です。「決して意味しない」と全否定にしないことが重要です。mean はagreementを目的語に取る他動詞です。
People sometimes avoid speaking because they lack enough information, fear damaging a relationship, or feel that the setting is unsafe.
人は、十分な情報がなかったり、人間関係を損なうのを恐れたり、その場が安全でないと感じたりするため、発言を避けることがある。
avoid と fear の後ろには動名詞を置けます。feel that ... のthat節はfeelの目的語です。理由を三つ並べても、すべてbecauseの内側にあるため論理関係が崩れません。
A student may remain quiet when a powerful teacher makes an unfair claim, even though the student strongly disagrees.
力のある教師が不当な主張をしたとき、生徒は強く反対していても黙ったままでいることがある。
when 節は状況、even though 節は譲歩を表します。remain は「〜のままである」という連結動詞なので、quietは目的語ではなく補語です。
We should therefore ask for a person's view instead of treating the absence of an objection as clear support.
したがって、異議がないことを明確な支持とみなすのではなく、本人の見解を尋ねるべきである。
treat A as B は「AをBとして扱う」。Aがthe absence、Bがclear supportです。ask for は句動詞的なまとまりで、求める内容をforの後ろに置きます。
Silence is ambiguous, while genuine agreement requires an opportunity to respond freely.
沈黙は曖昧だが、本当の同意には自由に答えられる機会が必要である。
while は時間ではなく対比です。to respond freely はopportunityの内容を説明します。結論文で問題の語agreementへ戻るため、答案全体が締まります。
- 1文目で賛否または限定的立場が分かるか
- 沈黙が同意以外を意味する理由を具体化したか
- 例が主張を支え、別の話題へ逸れていないか
- 60〜80語の指定を守り、主語と動詞がすべて対応しているか
- not always と never を取り違えていないか
2(B) 権力・政治・住宅を英語に組み直す
日本文は、疑問を持つ人でも権力者が動かす政治を変えるのは難しいと感じ、その結果、土地や家を得るために長期間必死に働く、という因果です。日本語では主語が省略されますが、英語では「疑問を抱く人」「土地や家を持たない人」を明示します。「支払いに何十年かかっても」は、時間を主語にせず it takes + 期間 + to do を使うと安定します。
Even people who question the system often feel unable to change politics controlled by those in power. That is why people without land or a home may work desperately to obtain one, even if paying for it takes decades.
- 譲歩
- Even people who question the system で「疑問を持つ人でさえ」。who節がpeopleを修飾します。
- 知覚構文
- feel unable to change ... は「変えられないと感じる」。形式目的語itを使うなら find it difficult to change ... も可能です。
- 権力者
- those in power は「権力の地位にいる人々」。controlled以下がpoliticsを後ろから説明します。
- 因果
- That is why ... は前文全体を理由として受けます。単なる話題転換に使わないこと。
- 期間
- paying for it takes decades では動名詞句が主語。より定型的に it takes decades to pay for it としてもよいです。
第3問|リスニング3題の解き方
2025年度は、(A)オオカバマダラの長距離移動、(B)蝶の収集家へのインタビュー、(C)都市の植生が題材です。題材を知っているかより、問いが求める関係を聞き分けることが重要です。放送前に選択肢の差を読み、「場所」「原因」「研究結果」「話者の評価」のどれを聞くのか決めます。
| パート | メモするもの | 捨てるもの |
|---|---|---|
| (A) 長距離移動 | 出発地→経由地→到着地、世代の交代、個体数への脅威 | 聞き取れなかった固有名詞の正確な綴り |
| (B) インタビュー | 質問ごとの論点、収集を始めた理由、倫理や保存への見解 | 相づち、同じ内容の言い換え |
| (C) 都市の植生 | 観察された現象、従来の説明、新しい仮説、証拠の限界 | 具体例を全文で書き取ること |
一つ聞き逃したときに記憶を探り続けると、次の設問も落とします。問題番号の横に疑問符だけを置き、次の話題転換語へ注意を戻してください。復習ではスクリプトを見て、誤答原因を「音が取れない」「語義を知らない」「選択肢の言い換えに気づかない」「メモ過多」の四つへ分類します。
第4問|正誤判定と「検閲の起源」の和訳
4(A) 正誤判定を語感で解かない
ゲームのルールと社会の関係を扱う英文から、文法・語法上の誤りを探します。点検順を固定すると見落としが減ります。まず主語と動詞の一致、次に動詞が要求する前置詞、関係詞節に欠けた要素があるか、補語が目的語の性質を表しているか、句動詞の代名詞位置を確認します。
| 確認項目 | 判断例 | 理由 |
|---|---|---|
| 前置詞 | account for A | 「Aを説明する」のaccountはforを取る |
| 関係詞 | a field where games are used ... | 節内に名詞の空所がなければwhichでなくwhereを検討する |
| 補語 | make playing more demanding | playingが「要求する」のではなく「要求の厳しいものになる」 |
| 句動詞 | pick them up | 目的語が代名詞なら動詞と副詞の間へ置く |
4(B) 文脈で訳語を選ぶ
題材は検閲の起源です。下線部には、共同体の語り手に異議を唱える場面、表面の物語の内側に別の意味を読む聞き手、危険な獣の物語が残忍な指導者の排除を暗示する場面があります。ここでは辞書の第一義を機械的に当てず、共同体の具体的な状況へ置き直します。
- imagine someone ... shouting:ある人が〜と叫ぶ姿を思い浮かべる
- silently “get it”:口には出さず、隠れた意味を理解する
- alert audiences:言葉の裏まで察する鋭敏な聞き手
- succeeding generations:成功した世代ではなく、その後に続く世代
- rid themselves of their vicious leader:自分たちの残忍な指導者を排除する
imagine + O + -ing は「Oが〜しているところを想像する」というSVOCに近い構造です。what alert audiences would do のwhatは「鋭敏な聞き手がすること」という名詞節を作ります。as some listeners figure out は、単なる「〜として」ではなく、挿入的に「一部の聞き手には分かるように」と処理すると文脈が通ります。
第5問|病気とラマダーンを扱う随筆
本文では、筆者が長年大切にしてきたラマダーンの断食と、身体上の事情から水を飲まざるを得なかった経験が結び付けられます。設問を解く前に、出来事を「従来の信念」「身体の限界」「断食を中断した行為」「罪悪感と再解釈」の順に並べます。宗教一般の知識で補うのではなく、筆者が本文中でどう価値づけたかを根拠にします。
If you cannot afford to do so, you should instead perform any acts of charity within your capability.
そのような寄付をする金銭的余裕がないなら、代わりに、自分にできる範囲で何らかの慈善行為をすべきである。
- 指示内容
- do so は直前の「聖なる月に空腹の人へ食べ物を届けるための寄付」を受けます。訳文では内容を補います。
- 動詞
- afford to do は「〜する余裕がある」。ここでは金銭的余裕。perform はactsを目的語に取る他動詞です。
- 対比
- instead は、寄付ができないなら何もしない、ではなく別の慈善行為をするという代替関係を示します。
- 修飾
- within your capability はperformを修飾し、行為の範囲を限定します。
水が「毒のように感じられた」理由を説明する設問では、水の味を客観的に説明してはいけません。筆者にとって断食は幸福な記憶と自己認識の一部であり、日中に水を飲む行為が、その伝統を自分から失うことのように感じられたためです。比喩の説明は「表現→直前の出来事→筆者の価値観」の順で書くと、感想文になりません。
- 代名詞やdo soが指す具体的内容を前文から補ったか
- 断食の一般的説明ではなく、筆者自身の経験を使ったか
- 「水=毒」を味覚の話と誤読せず、罪悪感との比喩として説明したか
- 選択肢は一語の一致で選ばず、前後の言い換え関係を確認したか
120分の実戦的な時間配分
次の配分は東京大学の公式指定ではなく、日本英語塾の演習目安です。得意分野に応じて前後させますが、終了時刻を問題冊子へ先に書き、要約や長文一題で全体を崩さないことが重要です。
| 第1問 | 22分 | 要約12分、文補充・整序10分。要約は80字を超える前に因果を確定する |
|---|---|---|
| 第2問 | 18分 | 自由英作文10分、和文英訳8分。最後に語数、単複、時制を確認する |
| 第3問 | 約30分 | 放送前に選択肢の差へ印を付け、メモは名詞と矢印に限定する |
| 第4問 | 17分 | 正誤判定7分、和訳10分。下線部の前後も読んで指示語を補う |
| 第5問 | 23分 | 出来事と感情の変化を余白へ記録し、記述問題から根拠を確定する |
| 見直し | 10分 | 未記入、語数・字数、マークずれ、英作文の主語・動詞を確認する |
7日間で解き直す方法
- 当日:初回答案を消さず、失点を知識・構文・設問理解・時間の四種類へ分類する。
- 翌日:要約と自由英作文を、模範答案を閉じて白紙から書き直す。
- 2日後:第2問の模範英文を一文ずつSVOCに分け、動詞が取る形を声に出す。
- 3日後:リスニングを一度通して聞き、二度目にスクリプトと音の変化を照合する。
- 5日後:第4・5問の和訳を日本語だけ見て英語の骨格へ戻す。
- 7日後:誤答設問だけを制限時間の8割で再試行し、同じ原因が残っていないか確認する。
2025年度東大英語のよくある質問
要約の模範解答を暗記すべきですか。
答案そのものではなく、「原因・変化・帰結」へ圧縮する手順を覚えます。同じ死の話題が再出題される可能性より、別題材でも因果を残す力の方が再利用できます。
自由英作文では賛成答案でもよいですか。
はい。沈黙を同意とみなす必要がある限定的な場面を示し、理由と例が一貫していれば成立します。ただし反対例を無視して断言すると、論理が脆くなります。
問題本文が公式サイトにない場合、どう演習しますか。
学校・予備校・市販過去問集など適法に入手した問題冊子を使い、東京大学公式ページで年度と非公開範囲を確認してください。本記事は問題の代替ではなく、答案作成と復習の補助です。
和訳は直訳と意訳のどちらを優先しますか。
最初に構文を直訳的に確定し、その後で文脈に合う自然な日本語へ整えます。構造を無視した意訳も、単語順を残した不自然な直訳も避けます。
出典・検証方法
- 東京大学「令和7(2025)年度第2次学力試験問題」:試験実施日と英語問題・スクリプトの非公開範囲を確認。
- 東京大学「これまでの試験問題及び解答等の公表」:大学公式の過去3年度への入口を確認。
- 出題形式・題材は複数の2025年度入試分析資料と照合し、難易度は各資料の評価として扱いました。
- 模範答案、和訳、時間配分、採点観点、復習手順は日本英語塾の独自制作です。東京大学の公式採点基準や公式配点を示すものではありません。
執筆・検証:日本英語塾 大学受験英語編集部
最終確認日:2026年8月5日。公式ページの公開状況やURLは変更される場合があります。訂正が必要な場合は編集方針ページに基づいて更新履歴を残します。
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日本英語塾では、要約・英作文・和訳の添削で、正誤だけでなく失点原因と次の答案で使う修正ルールを言語化します。
