第10講 第I部 総合演習|骨格だけで10文を読む|英文の原理
― 骨格だけで10文を読む
第1〜9講で身につけた手順を、10の英文で通しで使います。難しい単語は使いません。試されるのは、構造を決める手順を最後まで踏めるかどうかです。
第I部のまとめの演習です。ここまでの9講で積み上げた手順――述語動詞を決める → 準動詞を外す → 節とつなぐ語を数える → 前置詞句を外す → 主語を切り出す → 文型を決める → かたまりの働きを位置で決める → 完全・不完全を測る――を、実際の英文で一気に使います。単語はやさしくしてあります。最後まで手順を踏めるかを確かめてください。
1. 読む手順の総復習
初見の一文に出会ったとき、次の順で手を動かします。意味は最後に決まります(原理0)。
- 述語動詞を見つける。時制を持つ動詞。準動詞(to do / doing / done)は外す。(第1・2講)
- 述語動詞とつなぐ語を数える。節が n 個ならつなぐ語は n−1 個。合わなければ省略を疑う。(第3講)
- 前置詞句を外す。骨格に入らない修飾を灰色にする。(第7講)
- 主語を切り出す。核の名詞を押さえ、説明のかたまりが終わるところまでが主語。(第5講)
- 文型を決める。後ろの要素の数とイコールの有無で、S・V・O・C を確定。(第4・6講)
- 残りのかたまりの働きを位置で決める。名詞・形容詞・副詞のどれか。(第8講)
- 節の後ろの完全・不完全を測る。関係詞・接続詞の識別に使う。(第9講)
この手順は、当てはめれば答えが出る装置ではありません。各ステップに、頭を使って判断する場面があります。ですが、手順を踏むことで考える範囲が絞られ、そこから先に頭を使えます。何も決めずに単語の意味を並べているあいだは、判断の手がかりが現れません。
2. 通しで読む5文
The report the journalist wrote about the scandal changed public opinion overnight.
- 述語動詞
- wrote / changed(2)
- つなぐ語
- 0 → 1つ足りない → 関係代名詞の省略(the report の直後が〈名詞+動詞〉)
- 骨格
- The report changed public opinion(第3文型)
その記者がスキャンダルについて書いた記事は、一夜にして世論を変えた。
Living in a foreign country taught her how much she had taken for granted.
- 主語
- 動名詞句 Living in a foreign country(第2講・名詞の働き)
- 文型
- 第4(her≠疑問詞節)
- how節
- 不完全(taken の目的語が欠ける)=疑問詞節・名詞の働き
外国で暮らしたことは、彼女がどれほど多くを当たり前だと思っていたかを教えてくれた。
What the committee decided at the meeting surprised everyone who had attended.
- 主語
- What 節(不完全・decided の目的語欠)=名詞の働き
- who 節
- 不完全(主語欠)=形容詞(everyone を説明)
- 骨格
- What… surprised everyone(第3文型)
委員会が会議で決めたことは、出席していた全員を驚かせた。
The teacher found the students in her new class far more motivated than she had expected.
- 文型
- 第5(students = motivated)→ find O C「O が C だと分かる」
- than 節
- 比較の対象(第27講)。in her new class は前置詞句(students を説明)
その教師は、新しいクラスの生徒たちが、予想していたよりはるかに意欲的だと分かった。
motivated(形容詞的な過去分詞)が C なので、迷わず第5文型。found を「見つけた」と読むと崩れます(第6講)。
The assumption that the market would recover on its own, which many economists shared at the time, proved to be dangerously mistaken.
- 核
- The assumption
- that 節
- 完全 → 接続詞(同格)=形容詞の働き
- which 節
- 不完全(shared の目的語欠)→ 関係代名詞(非制限用法・挿入)
- 骨格
- The assumption proved to be mistaken(第2文型)
市場は自力で回復するという想定は、当時多くの経済学者が共有していたものだったが、危険なほど誤っていることが判明した。
同格の that(完全)と関係代名詞の which(不完全)が同じ主語の中に同居しています。後ろの完全・不完全を見れば、両方とも役割が決まります(第9・11・15講)。
3. 自分で読む5文
手順に沿って、①述語動詞 ②骨格(S・V・O・C)③各かたまりの働きを決めてから、解答を開いてください。
(1) The decision the board announced yesterday will affect thousands of employees.
解答・解説を見る
述語動詞は announced・will affect の2つ、つなぐ語0 → 1つ足りない → The decision の直後に目的格の関係代名詞の省略。骨格は The decision will affect thousands(第3文型)。
取締役会が昨日発表した決定は、何千人もの従業員に影響する。
(2) Reading widely as a child made him a confident writer.
解答・解説を見る
主語は動名詞句 Reading widely as a child(名詞の働き)。骨格は Reading… made him a confident writer。him = a confident writer(イコール)なので第5文型。「彼を自信ある書き手にした」。
子どもの頃に幅広く読書したことが、彼を自信ある書き手にした。
(3) The scientists whose work had been ignored for decades finally received recognition.
解答・解説を見る
核は The scientists。whose work had been ignored for decades は関係代名詞(所有格)の節=形容詞。主語はこの節の終わりまで。骨格は The scientists received recognition(第3文型)。had been ignored は節の中の動詞です。
何十年も業績を無視されてきた科学者たちは、ついに評価を得た。
(4) It became clear that the plan we had spent months preparing would not work.
解答・解説を見る
It は形式主語で、内容は that 節(第20講)。that 節の中の骨格は the plan would not work。the plan の後ろに we had spent… と続くのは目的格の関係代名詞の省略(the plan (that) we had spent months preparing)。全体は「〜が明らかになった」(第2文型・clear が C)。
私たちが何か月もかけて準備してきた計画がうまくいかないことが、明らかになった。
(5) What makes the discovery so important is that it challenges a theory scientists had trusted for a century.
解答・解説を見る
主語は What makes the discovery so important(不完全・what が主語を兼ねる/中は第5文型 discovery=important)=名詞の働き。骨格は What… is that…(第2文型)。C は that 節(完全・接続詞)。その中の a theory scientists had trusted… は目的格の関係代名詞の省略(不完全)。
その発見をこれほど重要にしているのは、科学者たちが一世紀にわたって信頼してきた理論に、それが異議を唱えている点だ。
4. つまずいたら戻るチェックリスト
| 症状 | 戻る講 |
|---|---|
| どれが主節の動詞か決まらない | 第1講(述語動詞)・第2講(準動詞を外す) |
| 動詞が2つあるのにつなぐ語が見えない | 第3講(省略の検算) |
| 主語がどこで終わるか分からない | 第5講(長い主語)・第7講(前置詞句を外す) |
| make/find の訳がしっくりこない | 第4講(文型)・第6講(O と C) |
| この that は名詞節か形容詞節か迷う | 第8講(位置で働き)・第9講(完全・不完全) |
ここまでが第I部です。骨格をつかむ手順が一通り身につきました。第II部(第11講〜)では、この土台の上で、英文で最も判断を迷わせる that・what・as・関係詞・不定詞・分詞を、一つずつ確実に識別していきます。第II部で新しく覚えることは、ほとんどありません。第I部の手順を、それぞれの形に当てていくだけです。
次の講へ
手順が身につくと、初見の英文が怖くなくなる
第I部の手順は、知っているだけでは速くなりません。実際の入試英文で何度も回して、初めて自分のものになります。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。あなたが今どこで手順を飛ばしているかを担当講師が特定し、初見の長文を安定して読める状態まで引き上げます。
