第19講 as の識別|5つの顔をどう決めるか|英文の原理

英文の原理|第II部 かたまりを見抜く|第19講
as の識別
― 5つの顔をどう決めるか

as は英語で最も多義な語の一つです。しかし、品詞(接続詞・前置詞・関係代名詞)と後ろの形を見れば、5つの顔は順に絞れます。

as は、接続詞として時・理由・様態・比例を、前置詞として「〜として」を、さらに関係代名詞としても働きます。多義ゆえに敬遠されがちですが、判断の道具はこれまでと同じ――後ろが節か名詞か、そして前後の内容です。この講で as の顔を一つずつ整理します。

1. as の全体像 ― まず品詞で二分する

最初の分かれ目は、後ろが節(S+V)か、名詞かです。節なら接続詞、名詞だけなら前置詞。関係代名詞の as は特別な型(such/the same/as … as)で現れます。

品詞 後ろ 意味
接続詞 時・理由・様態・比例・譲歩
前置詞 名詞 〜として
関係代名詞 不完全な節 such/the same/so … as と呼応

2. 接続詞の as ― 5つの意味を前後で決める

意味 目印・ヒント
時(〜するとき/につれて) 両方の動作が同時・並行 As I opened the door, …
理由(〜なので) 文頭に多い。because より軽い As it was late, we left.
様態(〜のように) do so / the way と同じ Do as I say.
比例(〜するにつれて) 両方に変化を表す語 As you grow older, …
譲歩(〜だが) 形容詞+as+S+V の倒置形 Young as he is, …
譲歩の as語順が特殊です。Young as he is(=Though he is young)のように、形容詞・副詞・名詞が as の前に出ます。文頭に裸の形容詞+as を見たら、譲歩を疑います。

3. 前置詞の as ―「〜として」

後ろが名詞だけなら前置詞で、「〜として」の意味です。like(〜のように・似ている)との違いに注意します。as a teacher(教師として=実際に教師)/like a teacher(教師のように=教師ではない)。

She works as a translator.(翻訳者として働く=実際に翻訳者)
He talks like a politician.(政治家のように話す=政治家ではない)

4. 関係代名詞の as ― such/the same/so と呼応

such … asthe same … asas … asas は関係代名詞で、後ろは不完全になります。また、as is often the case(よくあることだが)のように、前の文全体を先行詞にする用法もあります(非制限の which に近い)。

He is not such a fool as he looks. … as の後ろ he looks [C欠](不完全)
As is well known, … … as が前の文全体を受ける

5. 例文の解析

EX 1|比例の as

As the technology becomes cheaper, more households adopt it.

As the technology becomes cheaper〕, more households adopt it.
後ろ
節 → 接続詞
意味
両方に変化語(cheapermore)→ 比例「〜するにつれて」

その技術が安くなるにつれて、より多くの家庭がそれを導入する。

EX 2|理由の as

As no one objected, the proposal was adopted.

As no one objected〕, the proposal was adopted.
意味
文頭・軽い理由「〜なので」

誰も反対しなかったので、その提案は採用された。

EX 3|様態の as

Leave everything as it is.

Leave everythingas it is〕.
意味
様態「〜のまま/〜のように」。as it is=「そのままで」

すべてをそのままにしておきなさい。

EX 4|前置詞の as

As a beginner, she found the advanced course overwhelming.

As a beginner, she found the advanced course overwhelming.
後ろ
名詞 a beginner → 前置詞「〜として」(実際に初心者)
主節
found O C(第5文型・course=overwhelming)

初心者として、彼女はその上級コースを手に負えないと感じた。

EX 5|譲歩の as(倒置)

Difficult as the problem was, they solved it within an hour.

Difficultas the problem was〕, they solved it within an hour.
形容詞 Difficultas の前に出ている → 譲歩
意味
Though the problem was difficult「難しかったが」

その問題は難しかったが、彼らは1時間以内に解いた。

文頭に裸の形容詞+as =譲歩の合図。「〜だけれど」と訳します。頻出の倒置です(第30講)。

EX 6|関係代名詞の as(前の文全体)

The experiment failed, as often happens in early research.

The experiment failed, 〔as [S欠] often happens in early research〕.
as
関係代名詞。先行詞は前の文全体(「実験が失敗したこと」)。後ろは主語欠の不完全

初期の研究ではよくあることだが、その実験は失敗した。

as is often the caseas we have seen などの型。「〜だが」と前から補足的に訳します。

EX 7|入試レベル・as が2つ

As societies grow wealthier, they often value leisure as much as they once valued work.

As societies grow wealthier〕, they value leisure as much as they once valued work.
1つめのas
接続詞・比例「〜につれて」(wealthier の変化)
as much as
比較の as … as(同程度)

社会が豊かになるにつれて、人々はしばしば、かつて仕事を重んじたのと同じくらい余暇を重んじるようになる。

同じ as でも、1つめは比例の接続詞、as much as は比較。後ろの形と呼応する語で見分けます(比較は第27講)。

6. つまずきやすい形

(1) as =「として」と like =「のように」

as(前置詞)は「実際にそれである」、like は「似ているが実際は違う」。He works as a doctor.(医者である)/He works like a machine.(機械のように=機械ではない)。

(2) 文頭の形容詞+as は譲歩

Tired as I was, …Child as he was, …。裸の形容詞・名詞が文頭に出て as が続いたら、譲歩「〜だが」。ふつうの語順(As I was tired=理由)と区別します。

(3) as … as の間は原級

比較の as … as の間には、形容詞・副詞の原級が入ります(as tall as)。比較級(as taller as)は誤り(第27講)。

(4) as if / as though は仮定法を伴うことがある

He talks as if he knew everything.(実際は知らない → 仮定法過去)。as if / as though「まるで〜のように」は、現実と違う内容だと仮定法になります(第30講の仮定法と関連)。

7. 入試ではこう出る

as の識別は、下線部和訳と空所補充の両方で問われます。和訳では、同じ as を「〜のとき」「〜なので」「〜のように」「〜につれて」のどれで訳すかが、文脈判断として問われます。まず後ろが節か名詞かで品詞を決め、接続詞なら前後の内容で意味を絞るという順番を守れば、多義でも迷いません。

とくに譲歩の倒置形容詞+as+S+V)と関係代名詞の asas is often the case)は、知らないと構造を取り違えます。難関大で狙われるポイントです。

8. 確認問題

各文の as①どの品詞・意味か ②根拠を言えるようにしてから開いてください。

(1) As we climbed higher, the air grew thinner.

解答・解説を見る

接続詞・比例「〜につれて」。後ろは節。両方に変化語(higherthinner)があるので比例。

高く登るにつれて、空気は薄くなっていった。

(2) Strange as it may sound, the plan actually worked.

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接続詞・譲歩(倒置)。形容詞 Strangeas の前に出ている → =Though it may sound strange「奇妙に聞こえるかもしれないが」。

奇妙に聞こえるかもしれないが、その計画は実際にうまくいった。

(3) She was chosen as the team's representative.

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前置詞「〜として」。後ろが名詞 the team's representative。実際に代表に選ばれた。

彼女はチームの代表として選ばれた。

(4) As is common in such cases, the two accounts did not match.

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関係代名詞の as(前の文全体を先行詞)。後ろ is common in such cases は主語が欠ける不完全。「そうした場合によくあることだが」。as is common / as is often the case の型。

そうした場合によくあることだが、2つの証言は一致しなかった。

(5) Do it exactly as you were shown.

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接続詞・様態「〜のように」。後ろは節。「示された通りに」。the way you were shown と同じ内容です。

示された通りに、正確にそれをやりなさい。

9. この講のまとめ

まず二分 後ろが節→接続詞/名詞→前置詞(〜として)
接続詞の5意味 時・理由・様態・比例・譲歩。前後の内容で絞る
譲歩の合図 文頭に形容詞・名詞+as(倒置)=「〜だが」
関係代名詞の as such/the same/so … asas is often the case(前文を受ける)
as vs like as=実際にそれ/like=似ているが違う

第II部の識別も後半に入ります。次の第20講からは、準動詞の実戦――不定詞・動名詞・分詞――を、名詞・形容詞・副詞の働き(第2・8講)に沿って一つずつ詰めていきます。まずは第20講で不定詞の名詞用法と形式主語を扱います。

次の講へ

多義の as を、品詞と文脈で仕留める

as の5つの顔は、後ろの形と前後の内容で順に絞れます。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、譲歩の倒置や関係代名詞の as まで、構造から確実に読み解く力をつけます。

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