第37講 下線部説明・内容一致|構造から根拠を取る|英文の原理
― 構造から根拠を取る
「なぜか」「何を指すか」「本文と合うか」。これらは、本文の該当箇所の構造を取れば、根拠を示して答えられます。印象で選ばないのが鉄則です。
下線部の内容説明、指示語の特定、内容一致(正誤判定)――これらは、和訳とは違い「訳す」問題ではありません。しかし土台は同じで、本文の該当箇所の構造を取り、根拠を特定することに尽きます。この講で、構造から根拠を取り、記述・選択の両方を安定させる方法を扱います。早稲田・慶應・共通テストで頻出のタイプです。
1. 原理 ― 根拠は本文の構造にある
内容説明・内容一致は、印象や常識ではなく、本文の該当箇所の構造から根拠を取って答える。指示語は構造で先行内容を特定し、因果・対比は接続と構造でたどる。選択肢は本文の構造と照合して切る。
これらの設問で失点する最大の原因は、「なんとなく本文に書いてありそう」で選ぶことです。正解の根拠は必ず本文の特定の箇所にあり、その箇所の構造を取れば、根拠を指し示せます。「本文のここにこう書いてある」と言えるかが、正誤を分けます。
2. 設問タイプ別の攻め方
| 設問 | やること |
|---|---|
| 指示語の特定(this/that/it/such) | 数・格で候補を絞り、直前の該当する名詞・節を特定(第35講) |
| 下線部の言い換え・理由 | 下線部の構造を取り、前後の因果・対比の接続をたどる |
| 内容一致(正誤) | 選択肢のキーワードで本文の該当箇所を探し、構造を照合 |
| 空所補充(論理) | 前後の論理関係(逆接・帰結・具体)に合う語を選ぶ |
3. 解き方の実演
Early researchers assumed that memory works like a recording device, faithfully storing events as they occur. This assumption, however, has proved misleading. Each time we recall an event, we reconstruct it, and in doing so we may alter it — which is why two people can remember the same event quite differently.
設問A:下線部 This assumption は何を指すか
- 構造
- This assumption は前文の that memory works like a recording device …(第1文の assumed の目的語=that節)を指す
- 根拠
- assume(動詞)→ assumption(名詞)の対応。指示語は直前の該当内容を特定
解答:記憶が録音装置のように働き、出来事を起きたとおりに忠実に蓄えるという考え。
設問B:なぜ two people can remember the same event differently なのか
- 構造
- which is why …(非制限・前の内容が理由/第15講)。理由は直前 we reconstruct it, and … we may alter it
- 根拠
- 思い出すたびに再構成し、その過程で変えてしまうから
解答:人は出来事を思い出すたびにそれを再構成し、その過程で記憶を変えてしまうことがあるから。
初期の研究者は、記憶が録音装置のように働き、出来事を起きたとおりに忠実に蓄えると想定していた。しかしこの想定は誤りを招くものだと判明した。出来事を思い出すたびに、私たちはそれを再構成し、その過程で変えてしまうことがある――だからこそ、2人が同じ出来事をまったく違うように覚えていることがあるのだ。
指示語は動詞→名詞の対応で先行内容を特定し、理由は which is why の直前の構造から取る。印象ではなく、本文の構造が根拠です。
Which statement agrees with the passage?
(a) Memory stores events exactly as they happen.
(b) Recalling a memory can change it.
- (a)
- 本文は「録音装置のように忠実に蓄える」という考えを has proved misleading(誤りと判明)と否定 → 本文に反する
- (b)
- Each time we recall …, we reconstruct it, and … alter it と一致 → 正解
(a) は本文が否定した旧説なので不一致。(b) が本文の主張と一致。
選択肢のキーワード(stores exactly / recalling … change)で本文の該当箇所を探し、構造で照合。(a) は「否定された考え」を正しいかのように述べており、本文の論理と逆です。
4. つまずきやすい形
(1) 指示語は「直前の該当する構造」を指す
this/that/it/such は、数・格で候補を絞り、直前の名詞・節・文のうち文脈に合うものを特定します(第35講)。動詞→名詞(assume→assumption)の言い換えも手がかりです。
(2) 否定された旧説を正解にしない
評論は「一般に〜と思われている。しかし実は…」という型が多い(第35講)。however / but の前は否定される旧説。それを内容一致の正解に選ぶのは、典型的なひっかけです。逆接の前後で、どちらが筆者の主張かを構造で見極めます。
(3) 因果・対比は接続と構造でたどる
理由(because / which is why / for)、対比(while / in contrast / whereas)は、接続語と構造で関係を確定します。「なぜか」は原因を表す構造を、「どう違うか」は対比の構造を根拠にします。
(4) 言い過ぎ・すり替えの選択肢を切る
内容一致の誤答は、言い過ぎ(always / only / never など極端)、すり替え(本文の一部を別の主語・対象に付け替え)、本文にない情報が典型。本文の構造と照合し、これらを機械的に切ります。
5. 選択肢の切り方
内容一致は、選択肢のキーワードで本文の該当箇所を探し、構造を1対1で照合するのが基本です。合っているかを「なんとなく」判断せず、本文のどの構造が根拠か(または反するか)を特定します。極端な限定語(all / only / always / never)を含む選択肢は、本文がそこまで言っているかを厳しく確認します。
記述の内容説明では、本文の該当箇所を、構造を保ったまま日本語でまとめます(第36講の和訳+第38講の要約の中間)。指示語は指示内容に開いて答え、理由説明は因果の構造を明示します。第38講では、この「構造から要点を抜く」力を、要約問題として仕上げます。
6. 確認問題
上の「記憶」の本文について、根拠となる本文の箇所とその構造を示しながら答えてから開いてください。
(1) 下線部 in doing so の so は何を指すか。
解答・解説を見る
直前の recall an event(を思い出すこと)/より広くは reconstruct it。in doing so=「そうする際に」で、so は前の動詞句を受ける代動詞的用法(第26講)。ここでは「出来事を思い出し、再構成すること」。
出来事を思い出し、それを再構成すること。
(2) 内容一致:The passage suggests that memory is unreliable because it is reconstructive. は本文と合うか。
解答・解説を見る
合う。本文は「思い出すたびに再構成し、変えてしまうことがある」(reconstruct … alter)と述べ、それが「2人が同じ出来事を違って覚える」理由だとしている。「再構成的(reconstructive)だから当てにならない(unreliable)」は、この因果構造と一致。
記憶が再構成的であるために当てにならない、という趣旨は本文と一致する。
(3) 内容一致:Memory functions much like a video recording. は本文と合うか。
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合わない。「録音(録画)装置のように働く」という考えは、本文が This assumption … has proved misleading と否定したもの。逆接 however の前の旧説を正解にするひっかけ。
録画のように働くという考えは、本文が否定した旧説なので不一致。
7. この講のまとめ
| 原則 | 根拠は本文の構造にある。印象・常識で選ばない |
|---|---|
| 指示語 | 数・格で候補を絞り、直前の該当内容を特定(動詞→名詞の対応も) |
| 理由・対比 | 接続語+構造でたどる(which is why / while) |
| 内容一致 | 選択肢のキーワードで該当箇所を探し、構造を1対1で照合 |
| ひっかけ | 否定された旧説/言い過ぎ/すり替え/本文にない情報 |
次の第38講では、要約問題を扱います。段落の主節の骨格から要点を抜き、制限字数にまとめる技術で、東大第1問(A)型の設問に対応します。
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根拠を、本文の構造で示す
内容説明・内容一致は、本文の構造から根拠を取れば、印象に頼らず解けます。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。早慶・共通テスト型の設問を、構造から根拠を特定して解く力を、添削で鍛えます。
