第14講 関係副詞と〈前置詞+関係代名詞〉|欠所が消える理由|英文の原理
― 欠所が消える理由
「後ろが完全なのに関係詞」――第11講で保留したこの形の正体が、関係副詞です。関係代名詞との違いは、欠けているのが名詞か副詞かの一点です。
第13講までで、関係代名詞の後ろは必ず不完全でした。ところが the place where I was born の where は、後ろが完全です。この講で扱う関係副詞(when / where / why / how)と、それと等しい〈前置詞+関係代名詞〉が、その「完全なのに関係詞」の正体です。仕組みが分かれば、迷いは消えます。
1. 原理 ― 欠けているのが副詞なら関係副詞
関係副詞の後ろは完全に見えるが、それは「欠けているのが副詞(時・場所・理由・方法)」だから。副詞は文の成立に必須の要素(S・O・C)ではないので、欠けても完全に見える。
第9講で、欠所として数えるのは S・O・C・前置詞の目的語だけ、副詞情報の欠けは数えない、と確認しました。関係副詞は、まさにその副詞の位置を兼ねています。だから S・O・C は揃ったまま(=完全に見える)で、実は「そこで/そのとき/その理由で」という副詞の情報が関係副詞に吸い上げられているのです。
→ This is the house 〔where I was born〕. … in the house(副詞)が where に
もとの in the house(副詞の働きの前置詞句)が where に置き換わったので、I was born という完全な文が残ります。これが「完全なのに関係詞」の中身です。
2. 関係副詞と〈前置詞+関係代名詞〉は等しい
関係副詞は、〈前置詞+関係代名詞〉に書き換えられます。同じ内容の、2つの形です。
| 先行詞 | 関係副詞 | =前置詞+関係代名詞 |
|---|---|---|
| 場所 | the house where I live | the house in which I live |
| 時 | the day when we met | the day on which we met |
| 理由 | the reason why he left | the reason for which he left |
| 方法 | the way he solved it | the way in which he solved it |
ここで、判定の分かれ目がはっきりします。後ろが完全なら関係副詞(または前置詞+関係代名詞)、不完全なら関係代名詞。
the city where I stayed for a week … 完全 → 関係副詞
3. 例文の解析
The laboratory where the vaccine was developed is now a museum.
- 後ろ
- the vaccine was developed =完全(受動態で欠けなし)
- 判定
- 関係副詞 where(=in which)
そのワクチンが開発された研究所は、いまは博物館になっている。
the town which she described / the town where she grew up
the town 〔where she grew up〕 … 完全 → 関係副詞
- describe
- 他動詞・目的語が要る → 欠けている → which
- grow up
- 自動詞・欠けなし → where
彼女が描写した町/彼女が育った町
同じ先行詞 the town でも、後ろの動詞が目的語を要るかどうかで、関係代名詞と関係副詞が分かれます。先行詞が場所だから where、とはかぎりません。
There are moments when even experts hesitate.
- 後ろ
- even experts hesitate =完全
- 判定
- 関係副詞 when(=at which)
専門家でさえためらう瞬間がある。
The framework within which the data were analyzed has since been questioned.
- within which
- =関係副詞的(=where に近い)。後ろは完全
- 省略
- 前置詞が関係詞の前にあるとき、関係代名詞は省略不可
そのデータが分析された枠組みは、その後疑問視されてきた。
前置詞が関係代名詞の前に出る形です。論文などのかたい英語で頻出。〈前置詞+which/whom〉の後ろは完全になります。
The reason why the plan failed and the way it was handled are both worth studying.
- why
- 理由の関係副詞。後ろ完全
- the way
- how は使わず the way (that) S V。後ろ完全
計画が失敗した理由と、それが処理された方法は、どちらも研究に値する。
The ease with which the system can be manipulated is precisely the reason many experts distrust it.
- with which
- 前置詞+関係代名詞。後ろ the system can be manipulated は完全。=「その容易さで操作できる」
- the reason (why)
- 理由の関係副詞(省略)。後ろ完全
そのシステムが操作されうる容易さこそが、多くの専門家がそれを信用しない理由だ。
the ease with which S V は「〜する容易さ」という頻出の型で、how easily S V と同じ内容です。〈名詞+前置詞+which+完全な文〉を見たら、この型を思い出せます。
4. つまずきやすい形
(1) 「先行詞が場所・時」でも、欠所があれば関係代名詞
the day (which) I will never forget は、forget の目的語が欠けるので関係代名詞(省略可)。先行詞が day でも when ではありません。決め手は先行詞ではなく、後ろの完全・不完全です。
(2) the way how は不可
the way と how は共存しません。This is the way he did it. か This is how he did it. のどちらか。両方使うのは誤りです。
(3) 前置詞+関係代名詞では、関係詞を省略できない
the house in which I live の which は省けません。省けるのは the house (which) I live in のように、前置詞が後ろに残る形のときだけです(第13講)。
(4) 関係副詞は省略されることがある
the day (when) we met、the reason (why) he left、the way (how→that) he did it のように、関係副詞は省略されることがあります。省略されると「名詞+完全な文」が直結して見えるので、慣れが要ります。名詞のあとに完全な文が続いていたら、関係副詞の省略を疑うと読めます。
5. 入試ではこう出る
空所補充で which と where(や when)を選ばせるのは定番です。判断は毎回同じで、後ろが完全か不完全か。不完全なら which、完全なら where / when。先行詞が場所・時であることに引きずられて where / when を選ぶと、後ろが不完全な場合にひっかかります。
読解では、the ease with which/the extent to which/the degree to which のような〈名詞+前置詞+which〉が頻出します。これらは「どれほど〜か」という副詞的な内容を名詞化した型で、まとめて意味を取ると速く読めます。難関大の抽象度の高い文章でよく現れます。
6. 確認問題
各文の関係詞が①関係代名詞か関係副詞か ②根拠(後ろの完全・不完全)を言えるようにしてから開いてください。
(1) This is the restaurant where we celebrated her promotion.
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関係副詞 where。後ろ we celebrated her promotion は S+他動詞+O で完全。「そのレストランで祝った」=場所の副詞を兼ねる。
ここが、私たちが彼女の昇進を祝ったレストランだ。
(2) This is the restaurant (which) she recommended to us.
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関係代名詞 which(省略可)。後ろ she recommended [O欠] to us は目的語が欠ける不完全。先行詞が同じ restaurant でも、後ろが不完全なので関係代名詞です。
ここが、彼女が私たちに勧めたレストランだ。
(3) The speed at which the disease spread alarmed health officials.
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前置詞+関係代名詞 at which。後ろ the disease spread は完全。the speed at which S V=「〜する速さ」(=how fast S V)。
その病気が広がる速さは、保健当局を警戒させた。
(4) I still remember the day when I first arrived in this country.
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関係副詞 when。後ろ I first arrived in this country は完全(arrive は自動詞)。「その日に到着した」=時の副詞を兼ねる。
この国に初めて着いた日を、今も覚えている。
(5) Nobody could explain the way the machine kept restarting itself.
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the way +(that省略)+完全な文。後ろ the machine kept restarting itself は完全。the way how とは言わないので、the way (that) S V の形。方法を表します。
その機械がひとりでに再起動し続ける仕組みを、誰も説明できなかった。
7. この講のまとめ
| 関係副詞 | when/where/why/how。後ろは完全(副詞の位置を兼ねる) |
|---|---|
| =前置詞+関係代名詞 | on which / in which / for which。後ろは完全 |
| 関係代名詞との違い | 後ろが完全→関係副詞/不完全→関係代名詞。先行詞では決めない |
| 注意 | the way how は不可/前置詞+関係代名詞は省略不可/関係副詞は省略されうる |
| 頻出型 | the ease/extent/degree with(to) which S V=「どれほど〜か」 |
次の第15講では、コンマの付く関係詞――非制限用法――を扱います。コンマが付くだけで、意味と訳し方がどう変わるのかを、これまでの判定と結びつけて整理します。
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「完全なのに関係詞」で、もう迷わない
関係代名詞と関係副詞の分かれ目は、先行詞ではなく後ろの完全・不完全です。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、the extent to which のような難関頻出の型まで、構造から確実に読める力をつけます。
