第13講 関係代名詞|先行詞と欠所の対応|英文の原理
― 先行詞と欠所の対応
関係代名詞は「先行詞を説明する形容詞のかたまり」を作ります。どの格(主格・目的格・所有格)かは、後ろのどこが欠けているかで決まります。
第11講で、関係代名詞の後ろは不完全だと確認しました。この第13講では、その一歩先――欠けている場所によって、関係代名詞の格(who / whom / whose / which / that)が決まる――を整理します。ここでも新しく覚えることはほとんどありません。第9講の「完全・不完全」を、格の判定に当てるだけです。
1. 原理 ― 関係代名詞は二役をこなす
関係代名詞は、節と節をつなぐ役目と、その節の中で S・O・所有格のどれかを兼ねる役目を同時に果たす。だから、兼ねている場所が欠所として空く。
関係代名詞のかたまりは、直前の名詞(先行詞)を後ろから説明する形容詞の働きをします(第8講)。もとは2つの文で、共通する名詞を関係代名詞に置き換えてつないだもの、と考えると仕組みが見えます。
→ I know the man 〔who [S欠] wrote this book〕.
2つめの文の He(=the man)を who に置き換えて前に出したので、もとの He があった主語の場所が空きます。この「空き」が、何格の関係代名詞かを教えてくれます。
2. 格の決まり方 ― 欠所を見る
| 欠けている場所 | 格 | 人 | 物 | 省略 |
|---|---|---|---|---|
| 主語(S) | 主格 | who | which | 不可 |
| 目的語(O) | 目的格 | whom / who | which | 可 |
| 所有(〜の) | 所有格 | whose | whose | 不可 |
that は、主格・目的格のどちらにも使えます(所有格には使えません)。判定の順序はこうです。
- 先行詞(直前の名詞)を確認する。人か、物か。
- 関係詞節を独立文にして、欠所を探す(第9講)。主語が無ければ主格、目的語が無ければ目的格。
- 後ろが「名詞+動詞…」で完全に見えるなら、所有格を疑う。whose は後ろに名詞を伴い、その名詞込みで節が完全になる。
- 格が決まれば、人・物で語を選ぶ。
3. 例文の解析
The engineer who designed the bridge received an award.
- 先行詞
- The engineer(人)
- 欠所
- 主語 → 主格 → who
その橋を設計した技師は、賞を受けた。
The novel (which) she wrote at nineteen became a bestseller.
- 先行詞
- The novel(物)
- 欠所
- wrote の目的語 → 目的格 → which(省略可)
彼女が19歳のときに書いた小説は、ベストセラーになった。
The author whose book won the prize will give a lecture.
- 先行詞
- The author(人)
- 後ろ
- book won the prize =一見完全だが、book に「誰の」が欠けている
- 判定
- 所有格 → whose(whose book =「その著者の本」)
その本が受賞した著者が、講演を行う。
whose は「先行詞の〜」を表し、直後の名詞とセットで働きます。後ろが完全に見えても、直後の名詞に「誰の・何の」が欠けていれば所有格です。
The colleague (whom) I worked with for years has retired.
- 欠所
- 前置詞 with の目的語 → 目的格 → whom(省略可)
私が何年も一緒に働いてきた同僚が、退職した。
前置詞を後ろに残す口語的な形です。前置詞を関係詞の前に出すと with whom I worked となり、whom は省略できなくなります(第14講)。
The scientist and the equipment that made the discovery possible are now famous.
- 先行詞
- 人(scientist)+物(equipment)
- 関係詞
- 人と物が混ざるときは that を使う
その発見を可能にした科学者と機材は、いまや有名だ。
The researcher whose theory the committee that reviewed the proposal rejected has since been vindicated.
- whose theory
- 所有格。the committee … rejected [O欠] の目的語が whose theory
- that reviewed the proposal
- 主格。the committee を説明する内側の関係詞節
- 主節の V
- has been vindicated
提案を審査した委員会がその理論を却下した研究者は、その後正しさが証明された。
関係詞節が入れ子になった難文です。それでも、一つずつ「どの名詞を説明し、どこが欠けているか」を見れば、whose(所有格)と that(主格)が順に決まります。主節の骨格は The researcher has been vindicated の3語です。
4. つまずきやすい形
(1) 主格の関係代名詞は省略できない
the man lives next door は誤り。主格の who は省けないので the man who lives next door。「名詞+動詞」がいきなり続いて意味が通らないときは、主格の省略ではなく別の構造を疑います(分詞や、目的格の省略)。
(2) 目的格の省略と、主格の省略を混同しない
the book (that) I read は目的格の省略で正しい。しかし the book (that) is on the desk の that は主格なので省けません。省略できるのは、関係詞の後ろに〈主語+動詞〉が続く目的格のときだけです。
(3) 「先行詞=人」でも that は使える
the person that I met は自然な英語です。who / whom でなければならないわけではありません。ただし、非制限用法(コンマ付き)では that は使えません(第15講)。
(4) whose は人にも物にも使う
a house whose windows are broken(窓が割れた家)のように、whose は物にも使えます。「所有格=人だけ」ではありません。判定は先行詞の人・物ではなく、後ろの名詞に「〜の」が欠けているかで行います。
5. 入試ではこう出る
空所補充では、先行詞(人か物か)と、後ろの欠所(主語・目的語・所有)の2つで、who / whom / whose / which / that のどれかが一つに決まります。とくに whose は、後ろが完全に見えるために見落とされがちで、そこを突く出題が多い。「後ろの名詞に〜のが欠けていないか」を確かめる一手が効きます。
和訳問題では、関係詞節がどの名詞を説明しているか(先行詞の特定)が問われます。とくに先行詞と関係詞が離れている場合や、入れ子になっている場合(EX 6)は、欠所を手がかりに対応を取ります。格の判定と先行詞の特定は、どちらも欠所を見ることに帰着します。
6. 確認問題
各文の関係代名詞の①格 ②根拠(欠所)を言えるようにしてから開いてください。
(1) The teacher whose lessons inspired me became a lifelong friend.
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所有格 whose。後ろ lessons inspired me は一見完全だが、lessons に「誰の」が欠けている。whose lessons=「その先生の授業」。
その授業が私を奮い立たせた先生は、生涯の友になった。
(2) The proposal (which) the board rejected last year has been revived.
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目的格 which(省略可)。the board rejected [O欠] の目的語が欠ける。先行詞 The proposal は物。
取締役会が昨年却下した提案が、復活した。
(3) Students who submit their work late will lose points.
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主格 who。[S欠] submit their work late の主語が欠ける。先行詞 Students は人。主格なので省略不可。
課題を遅れて提出する学生は、減点される。
(4) This is the village (which) the artist based her paintings on.
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目的格 which(省略可)。前置詞 on の目的語が欠ける(based her paintings on [ ])。先行詞は物。前置詞が後ろに残る形です。
ここが、その画家が絵の題材にした村だ。
(5) The company hired a consultant whose advice completely changed its strategy.
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所有格 whose。advice completely changed its strategy は完全に見えるが、advice に「誰の」が欠けている。whose advice=「そのコンサルタントの助言」。先行詞は人。
その会社は、助言が戦略を一変させたコンサルタントを雇った。
7. この講のまとめ
| 主格 | 後ろの主語が欠ける。who / which / that。省略不可 |
|---|---|
| 目的格 | 後ろの目的語(前置詞の目的語含む)が欠ける。whom / which / that。省略可 |
| 所有格 | 直後の名詞に「〜の」が欠ける。whose(人・物とも)。省略不可 |
| 判定順 | 先行詞を確認 → 独立文で欠所を探す → 格を決める → 人・物で語を選ぶ |
| 土台 | 第9講の完全・不完全。格の判定は欠所を見ることに帰着する |
次の第14講では、関係副詞(when / where / why / how)と〈前置詞+関係代名詞〉を扱います。「後ろが完全なのに関係詞」という第11講で保留した形の正体を、ここで明かします。
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