第16講 what の正体|先行詞を含むということ|英文の原理
― 先行詞を含むということ
what は「先行詞+関係代名詞」を一語で兼ねます。だから what 節は名詞のかたまりになり、後ろは必ず不完全です。
関係代名詞 who / which / that には、説明する相手(先行詞)が前にありました。ところが what には先行詞が見当たりません。理由は単純で、what が先行詞を自分の中に含んでいるからです。what = the thing(s) which。この一点が分かると、what の働きも、that との違いも、いっぺんに片づきます。
1. 原理 ― what = the thing(s) which
what は「先行詞+関係代名詞」を一語で兼ねる。だから what 節は名詞のかたまり(主語・目的語・補語になる)で、後ろは必ず不完全。
what を the thing which に置き換えると、正体が見えます。
= I understood the thing which he meant [O欠].
what は「the thing(先行詞)+which(関係代名詞)」の合体。関係代名詞の部分が節の中で目的語を兼ねるので、後ろは目的語が欠けた不完全になります。そして the thing(名詞)を含むので、what 節全体が名詞の働きをします。
2. that との違い ― ここが試験の核心
what と接続詞の that は、どちらも名詞節を作れますが、後ろの完全・不完全で完全に分かれます(第9講)。
| what(関係代名詞) | that(接続詞) | |
|---|---|---|
| 先行詞 | 含む(自分の中に) | 含まない |
| 後ろ | 不完全(S・O・Cのどれか欠ける) | 完全 |
| 節の働き | 名詞 | 名詞(または同格の形容詞) |
| 訳 | 〜すること/もの | 〜ということ |
I know that he wants a car. … 完全 → that「彼が車を欲しいということ」
3. 例文の解析
What surprised us most was the speed of the response.
- 後ろ
- [ ] surprised us most ― 主語が欠ける
- 働き
- 名詞節・主語。「最も私たちを驚かせたもの」
私たちを最も驚かせたのは、対応の速さだった。
Scientists still cannot fully explain what causes these patterns.
- 後ろ
- 主語が欠ける → what
- 働き
- 名詞節・explain の目的語
科学者たちは、何がこれらのパターンを引き起こすのかを、いまだ完全には説明できない。
What he said contradicted the fact that the report had already been approved.
- What節
- 不完全(said の目的語欠)→ 名詞・主語
- that節
- 完全 → 同格(the fact を説明)
彼が言ったことは、その報告書がすでに承認されていたという事実と矛盾していた。
同じ文に what(不完全)と that(完全)が出ています。後ろの完全・不完全を見れば、両方の役割が決まります。
The success of the project depends on what the team decides next.
- on の後ろ
- what 節(名詞)=前置詞の目的語
そのプロジェクトの成否は、チームが次に何を決めるかにかかっている。
what 節は名詞なので、前置詞の後ろにも置けます(第8講の「名詞の位置」)。
This is what is called a win-win situation.
- what is called
- 「いわゆる〜」という慣用
これが、いわゆるウィンウィンの状況というものだ。
What makes human language unique is not the sounds it uses but what those sounds can be combined to express.
- 1つめのwhat
- 主語欠 → 名詞節・主語。中は第5文型(language=unique)
- the sounds (that) it uses
- 目的格関係代名詞の省略(不完全)
- 2つめのwhat
- express の目的語欠 → 名詞節。not A but B の B
人間の言語を特別なものにしているのは、それが使う音ではなく、それらの音を組み合わせて表現できるものである。
what が2回、しかも not A but B の中で対比されています。どちらも後ろが不完全(目的語欠・主語欠)なので what だと確定できます。
4. what を含む慣用表現
| what is called | いわゆる〜 |
|---|---|
| what we call | いわゆる〜(能動) |
| what is more | さらに(=moreover) |
| what is worse | さらに悪いことに |
| A is to B what C is to D | A と B の関係は C と D の関係に等しい |
| what little / what few | 〜する少ない…すべて |
これらは丸暗記というより、what =「〜もの・こと」から意味を組み立てると、初見でも見当がつきます。what is more は「さらに多いもの(=加えて言えば)」というイメージです。
5. 入試ではこう出る
空所補充での what / that の選択は、文法問題の定番です。判断は後ろの完全・不完全のみ。「意味が『こと』だから what」ではなく、「後ろに欠所があるから what」と考えます。what を選ぶべきところで that を選ぶ誤りは、欠所を見ずに意味で判断したときに起きます。
和訳・読解では、what 節が長い主語になっている文(EX 1・EX 6)が頻出します。What … is 〜 の形は「…なのは〜だ」という主張の型で、筆者が最も言いたいことを is の後ろに置くことが多い。What で始まる文を見たら、is の後ろに主張が来ると予測して読めます。
6. 確認問題
各文の空所や下線が what か that か、その根拠(後ろの完全・不完全)を言えるようにしてから開いてください。
(1) Nobody understood ( ) the instructions actually required.
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what。後ろ the instructions actually required [O欠] は require の目的語が欠ける不完全。「指示が実際に何を求めていたか」。
その指示が実際に何を求めているのか、誰も理解できなかった。
(2) The evidence suggests ( ) the two events are connected.
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that。後ろ the two events are connected は完全。接続詞の名詞節「2つの出来事が関連しているということ」。
その証拠は、2つの出来事が関連していることを示唆している。
(3) What matters is not how much you read but how carefully you read it.
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what(主語)。後ろ [S欠] matters は主語が欠ける。「大切なのは〜」。is の後ろに主張(not A but B)が来る典型の型です。
大切なのは、どれだけ読むかではなく、どれだけ丁寧に読むかだ。
(4) She is not what she used to be.
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what(補語)。後ろ she used to be [C欠] は be の補語が欠ける不完全。「かつての彼女(という状態)」。what S used to be=「昔の S」は頻出。
彼女は、かつての彼女ではない。
(5) Reading is to the mind what exercise is to the body.
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what(A is to B what C is to D の型)。「読書と心の関係は、運動と体の関係に等しい」。what の後ろ exercise is to the body は一見完全に見えますが、これは慣用表現として型で覚えるのが実用的です。
読書と心の関係は、運動と体の関係に等しい。
7. この講のまとめ
| what の正体 | 先行詞+関係代名詞(=the thing(s) which)を一語で兼ねる |
|---|---|
| 後ろ | 必ず不完全(S・O・Cのどれかが欠ける) |
| 働き | 名詞節(主語・目的語・補語・前置詞の後ろ) |
| that との違い | 後ろ不完全→what/完全→that。意味ではなく欠所で判断 |
| 読みの型 | What … is 〜は「…なのは〜だ」。isの後ろに主張 |
次の第17講では、what と同じく名詞節を作る疑問詞節・間接疑問を扱います。疑問文が文の一部になると語順が戻る理由を、完全・不完全と結びつけて整理します。
次の講へ
what と that を、欠所で一瞬に分ける
what と that の判断は、意味ではなく後ろの完全・不完全です。日本英語塾は担任制のオンライン英語専門塾です。実際の入試英文で、What … is 〜 の主張の型まで、構造から速く正確に読む力をつけます。
